家庭血圧計で血圧測定をする意味

人間の血圧は心臓が1回打つごとに1回の血圧が発生します。それはエンジンである心臓から血液が出る勢いとゴムホースである血管の硬さにより血液の圧力つまり血圧が決まります。ということはエンジンが弱くてもホースが硬ければ血圧が上がります。これが高齢者の高血圧です。ホースが軟らかくてもエンジンがフル回転すれば血圧が上がります。例えれば若い方が運動したときでしょうか。また「人生、楽ありゃ苦もあるさ」すなわち血圧も「山あれば谷あり」つまり血圧が高ければ体が反応して下げようとする調整機構が働きますが、それが年とともに弱ってしまうと高血圧になります。

本などで血圧の測定法を見ると、いろいろなやり方が書いてあり、どれが本当か迷うことも多いかと思います。ですから当院では、血圧の数字は全て本当(数字はうそをつかない)なので、自分の都合のいいような数字だけを並べず、全てをそのままに記入するように指導しています。よく患者さんから「この血圧測定器が壊れているのでは?」と質問を受けますが、「電池切れなどを除けばほとんど壊れていることはありません。壊れかけているのはご自身の体の方で、体の危険信号を血圧で訴えているのです」と患者さんに答えるようにしています。

ですから朝起床時と夜寝る前に1回もしくは2回測定した数字をそのまま記入してかかりつけの医師に見せればよいのです。そうすればプロである医師が患者さんの状態を把握して適切なアドバイスをするはずです。そして塩分制限を含めた食事療法のみでの治療が困難ならば、薬をのむという選択肢も出てきます。高齢者の高血圧の場合は最初に書いたとおり、ゴムホースが朽ちて硬くなっていますので、最終的には薬をのむという選択肢は避けて通れません。年をとるにつれて血管が若返るということはありえませんので、いかにして加齢という老化の進行を遅くするかということになります。治療を開始する前に患者さん自身の体の状態をよく知っていただければ、なぜ薬をのまなければならないかということを理解していただけると思います。

 

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