青桜を読んで

昨年夏に防衛大学のオープンキャンパスに行きましたが、できれば行く前に読みたかった漫画です。うちの次男はこの漫画を愛読して自衛隊や防衛大学に興味を増幅させていったようです。アマゾンの一部の書評ではこの青桜なる漫画は政治的思想にも左右しますのでいかがなものかという意見もありましたが、表現や思想の自由が日本国憲法で保障されていますので堂々と書店で売られています。私の高校の同級生が一人防衛大学に行きましたが、卒業以来会っていません。風の便りで現在海上自衛隊の幹部として働いているようですが、行動は隠密事項なのかもしれません。自分の学生時代は今から思えばとてもルーズでしたが、更に世の中のルーズな大人社会を垣間見るには絶好の機会でした。自分の生活規律はとても胸を張れるようなものではなかった一方で同級生は同じ18歳で横須賀の防衛大学の門を通った後は多くの忍耐が待ち受けていたのだと思います。国を守るために国民の血税で賄われているこの大学ではこれから日本の防衛を守る為に必要な知識や忍耐や正義を学ばなければなりません。漫画のストーリーで常に問われている「防大の中での理不尽」とは事の大小にもよりますが「世の中の理不尽」と同じ種類のものです。「世界の中での理不尽」がまかり通って戦争が起きて非のない人々が殺されます。「なぜ、殺し合いをしなければならないの?」と問いかけても明確な答えはありません。理不尽であっても仕方なくその理不尽を受け入れて最善の努力をするしかないのです。その理不尽さを入学早々から嫌というほど叩き込まれるという内容です。当時の大学生の自分だったら間違いなく逃げ出していたと現在の自分でも確信します。そのような厳しい世界に自ら飛び込んでいった同級生やこれから飛び込みたいと思う次男を見ると「自分とは住む世界や価値観が違うな」と思います。誰でも自分と異なる世界の人間を見ると「決して自分には真似できなくて凄い!」と尊敬してしまいます。相手方の眼差しも多分同様で「同じ命を守る仕事でも、医師の仕事は絶対に俺には向いてない」と思っているのかもしれません。

最初は学費が無料で更に給料まで貰えて勉強もできて資格も取れるという身分で申し分のない待遇で喜んで入学しますが、入学後の「理不尽な扱い」を受けながら同期生と励ましあって同室の先輩とぶつかりながら主人公が少しずつ大人へと成長して行くのですが、全く防衛大学の内部事情を知らない私にとってはこの青桜という漫画を通して僅かですが防衛大学に入学する意味を考えました。そして卒業後に自衛隊幹部になって日本を守り部下を命がけで守るためにはこの二十歳前後の青春の時期に心と体を「理不尽という鞭」で鍛えあげなければならないのかもしれません。まだ次男は興味を持っているだけで本当に受験するかどうかもわかりませんし、偏差値だって60オーバーが必要で今の次男の成績では行けないかもしれません。また「親として本当に防衛大学に行かせたいか?」と聞かれたら自信を持って「行かせたい」とはまだ言えません。国民のために働く自衛隊は尊敬しますが、親心と一般論はまた別の論理でこれからも悩ましい日々が続くでしょう。

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