借金は最大のモチベーションである

先日ビジネスカンファレンスに出席して世の中の動向を聞いてきました。それが全て医療業界にあてはまることはありませんが、世の中で活動するという普遍の事業に関しては一定の規則があります。今回は長年働いてきて惰性になってきた状況をいかに打破するかという視点で考えてみました。惰性になるとどうしてもモチベーションが落ちます。最初の頃は希望に満ちたバラ色の人生を夢見て起業するわけですからモチベーションが落ちることなどあり得ません。また目標も掲げて日々邁進しますので惰性というつまらない事に脇目を振る暇もありません。ところが同じことをずっと続けて10年、20年と経過すると自然にモチベーションが落ちてきます。そのような状況に至った時に「次の展開は?」と考えるには今回の企画が絶好の機会でした。

昔昔、自院に帰ってきて新しい診療所を建てた時それはもう20年前のことですが、その当時は右も左もわからず借金を抱えて毎日毎日がそれは必死でした。それでも全くの地盤と看板と鞄をもたない状態からの出発ではありませんでしたのでかなり精神的には楽だったと思います。一方で真っ白な新品のキャンバスではなくひびの入った色褪せたキャンバスに真っ白な布を新しく貼ったような出発ですからどうしても新しいキャンバスを通して薄っすらと昔の色が見え隠れします。これが継承の辛いところで裸一貫からの出発と比較すると一長一短です。それでも借りたお金を返せなければ一家は夜逃げをしなくてはなりませんので必死でした。しかし借金の返済が終了するといつの間にか以前のような緊張感は消え失せて惰性へと変化していきます。一度その惰性というぬるい環境に慣れてしまうと再び「もう一旗振ろう」とは思えなくなります。そしてどんどん年月だけが過ぎていきます。そう言えばこんな感覚はもっと以前にもありました。昔々の事を丹念に思い起こしてみますと今、思い出しました。子供が生まれた時です。「この子が成人になるまでは何が何でも生きなければいけない」と3回思ったあの時の瞬間と同じ感覚です。これも大きなモチベーションになりました。モチベーションは借金返済という具体的な目標から壮大な夢や目標を掲げることまで幅広く存在します。そしてゴール地点に到達してしまうと目標がなくなります。いわゆる燃え尽き症候群でしょうか。また目標がまだ達成されずにその目標を見失うとやはり惰性に流されてしまいます。

そんな事を考えながら「次の一手は?」今、考えています。「もう一度、借金するか?」「いや、この歳で借金なんてもってのほか!」ともう一人の自分が叫びます。「まだ成人してない子供がいるじゃないか?」と尋ねられると「それはそうだけど、最近はそのモチベーションのインパクトは少し薄くなったんじゃね?」と子供からの声が聞こえてきます。言われてみればそれも当たらずとも遠からずです。「じゃあ、何をモチベーションにすればいいの?」と天の声に聞いてみました。「日々精進をしていれば天から囁き声でモチベーションが降りてきますよ」と帰りの新幹線の中で夢うつつに聞こえました。

カテゴリー: 日常のこと パーマリンク

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です