健診で心電図異常を指摘されたら ~その2~

今回は不整脈です。不整脈は範疇が広いので十把一絡げに扱うことは困難ですが、敢えて言えば不整脈による突然死の可能性のある患者さんを見つけ出すのがねらいです。よく書かれている所見で上室性期外収縮や心室性期外収縮で循環器内科で要精査と書かれることが多いのですが、我々が心臓超音波や24時間心電図をとって精密検査をしても異常がなく要観察の方が大半です。多発性期外収縮や頻脈や徐脈と書かれている場合は要注意のことがあります。その場合は治療が必要なこともあり治療不要でもしっかりとフォローしなければなりません。また最近のトピックスでブルガダ症候群疑いという所見をよく目にするようになりましたが、これは突然死の可能性がありますので要注意です。実際には要精密で検査してもほとんどの患者さんは異常なしや要観察で本当に治療の必要な患者さんは少数ですが、ブルガダ疑いの場合は必ず精密検査が必要です。最近は高齢化で心房細動が増えていますが、心房細動は脳梗塞を起こす可能性があり必ず精密検査をして抗凝固薬という血液サラサラの薬を大半の方が飲まなければならなくなります。

その他では、完全右脚ブロック、完全左脚ブロック、不完全右脚ブロックや1-3度房室ブロックなどと書かれることがあります。この場合も本当に治療が必要な方は少数なのですが精密検査が必要です。特に完全左脚ブロックと2-3度房室ブロックは心臓に異常があることが多いのでフォローや治療が必要ですが、動悸や息切れや胸痛などの自覚症状がなければ要観察のことも多いのです。大人の不完全右脚ブロックは要観察ですが、小学生で不完全右脚ブロック指摘された場合はときに先天性心臓疾患の可能性もありますので心臓超音波が必要です。しかし過去の三歳児健診などで異常指摘されていない場合はまず先天性心疾患の可能性は低いのです。その他に時計回転や反時計回転や左軸偏位や右軸偏位の所見がありますが、その中の一部は本当に異常があるのですが大半は要観察のみです。

思い当たる範囲で所見を並べてみましたが、心電図異常を指摘されても大半の方は要経過観察で実質異常なしのことも多いのです。しかし最初にも言いましたが、健診はあくまでもスクリーニングですので8割は空振りでいいのです。本当に治療の必要な1-2割の方を見つけ出すのが健診なのです。よってまず要精密と書かれたら一度は必ず循環器内科を受診して専門医の判断を仰ぐことが大切で自覚症状があれば尚更です。そして要観察ならばまずは一安心ですが、要観察でもほぼ異常なしという場合と要フォローという場合がありますのでその違いについては検査した専門医からしっかりと説明を聞いてください。健診システムは日本では非常によく機能していると思います。しかし健診は受けてなんぼのものです。何が言いたいかと言いますと、「俺は健康だから健診は受けない」という方がよくいらっしゃいます。しかし「健診」という言葉は私の解釈からすると「健康だと自負している人が本当に健康であるかどうかを診断」するものだと思っています。病気をして時間とお金を費やすぐらいなら年1回1日に費やす時間とお金は安いとは思いませんか?

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