ワクチン転じて福となす~転~ その1

転;ワクチン開始

新型コロナワクチン接種について大きく動き始めたのは2021年になってからで2020年の大騒ぎから丁度1年が過ぎた1月下旬でした。まずワクチン接種に関して厚労省から矢継ぎ早にまた難解な文章が県医師会から徳山医師会を通してメールで送られてきました。それをいちいち読んでまず自分が理解しなければ事が運びません。厚労省のお役人の上から目線の丸投げに周南市の保険行政課の担当者は徳山医師会との調整も必要で大変だったと思っています。しかしいつの時代も公僕は不満と非難のサンドバック状態になるのは世の常です。最初に承認されたワクチンはファイザー社製品のみでマイナス75度以下で保管しなければならないという絶対条件があるために、市との事前協議では安全性の担保が重要でまず個人接種は当面凍結して集団接種を先行させるのが妥当であろうという結論に至りました。同時に重大な副反応であるアナフィラキシー反応が稀ではあるが起こりうるためその対策もしなければならないという認識を市と医師会が共有しなければなりませんでした。事前協議を繰り返すうちに2月になります。他市では医師個人にワクチン接種の出務についてのアンケートを行っているという情報が飛び込んできます。周南市でも集団接種や将来の個人接種を含めてアンケートを取らなければなりません。しかしその文言に苦労します。今回は国の一大事ですので全ての医師や看護師そして他の医療関係者の力を借りなければなりません。どのような文章にすれば全医師会員や医療スタッフに協力いただけるかを慎重に検討しながら一言一句を選びました。

更に2月から3月にかけて国は朝令暮改の文章を送り続けてきます。最初は3月には医療スタッフ全員のワクチン接種完了と国は大見得を切っていましたが、いざ蓋を開けてみるとワクチン自体が日本に入ってきません。集団接種については周南市民が約14万人で65歳以上のワクチン対象者が46000人いること、そしてその対象者の7割が接種すると仮定すると3万人を超えますので集団接種だけでは到底追いつきません。しかしまずは集団接種で流れをつかんだ後に個人接種を開始すると言う当初の計画の元で、周南市を大きく4分割して会場の選定やスタッフの動線などを含めた協議、そしていかに効率よく3密にならずに接種をすることと万一の副反応に備えてしっかりとした対策を事前に検討することでした。会場の設置や動線やスタッフ配置は市にお任せして、私は副反応対策に力を入れました。個人的には循環器内科が専門ですが、本物のアナフィラキシーショックなんて医師になって30年で一度もお目にかかったことはありません。知識ではアナフィラキシーの際にはボスミンを0.3から0.5Aを大腿部外側に服の上から筋注するということは知っていますが、どのタイミングで決断するのかがピンときません。そのようなタイミングは教科書には全く書かれてないのです。

文章が長くなりましたので続きは次回に。

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