iPS細胞って凄い!

先日、京都大学の山中伸弥先生がノーベル医学生理学賞を受賞されました。日本人としてまた医師免許を持っている者として誇りに思います。過日、患者さんから「iPS細胞って何なの?」って質問がありました。医師という専門職からすれば新聞記事を読むと簡単によくまとめてありすぐに理解できるのですが、玄人でなければそのわかりやすい記事も難解のようなので、Dr椎木のさらさら解説をしてみたいと思います。よって全てが新聞と同じように正しく表現されてないかもしれませんが、わかりやすくするためでご勘弁を。

太古の昔から生命とは1個の受精卵(いわゆる卵)からいろいろな細胞(例えば心臓や脳や皮膚などいろいろな細胞)に変化(分化)して、一度変化したものは元に戻らないというのが一般的な考え方でした。しかし山中先生と同時受賞されたイギリスのジョン・ガードン先生は1960年代にカエルの卵に変化して元に戻らないと考えられていた細胞(皮膚などの細胞)を移植すると卵が孵ったということを証明しました。その40年後に山中先生が人の皮膚細胞に遺伝子を4個入れると皮膚の細胞が心臓の細胞に変化したという画期的な発見です。なぜ画期的かというとそれまでは胚細胞といういわゆる卵を使用しなければ同じことができなかったため、生命倫理に抵触するということが大きな理由でした。つまり人体のどこの細胞をとってきても遺伝子をいれちゃえば心臓などの臓器が作れてしまうという究極の方法なわけです。そのiPS細胞の目的はクローン人間を作ることではなく、難病の患者さんの皮膚をとり出し培養して心臓などの細胞に変換させてその難病に効果のある新薬を開発したり、薬の副作用を調べたり、更には病気で傷んだ自分の臓器を皮膚から作ることなのです。我々と同年代の山中先生の今後のご活躍を願わずにはいられません。

さて山中先生のエピソードも新聞記事にたくさん書いてありましたが、特に印象に残っている記事は研修医時代に整形外科に入局されて同期の医師が10分でできる簡単な手術が1時間もかかり周囲から「じゃまなか」と呼ばれていたそうで、その不器用さのため臨床医をあきらめて研究の道に進まれたとのこと。しかし研究でも大変苦労されているようですが、本人が苦労だと思っていないことが素晴らしい。仕事でも遊びでもなんでもそうですが、やるからには楽しまなきゃ損。嫌だと脳みそが反応してしまうともうダメ。だからこそ嫌だと思っても脳みそに楽しいと錯覚させてしまえばいいわけです。簡単に言えば洗脳です。これはかの有名な自己スキルアップの達人が書かれていました。また諦めなければ失敗はない。失敗すれば次は成功するかもしれないのです。いつ成功するかは保証できませんが。しかし諦めたらそこでジエンド。終了のホイッスルが鳴るだけです。これは松下幸之助さんやエジソンなど多くの偉人が語られています。

自分がノーベル賞をとることなど何十億人分の1(地球の人口)の確率で銀河のはるか彼方ですが、諦めないで自分にできることをがんばり続けること、それが大事だと思っています。その銀河の向こうにはまだ見えそうで見えない夢があるように思えてならないのです。

カテゴリー: 医療のこと, 日常のこと パーマリンク

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です