あなたは検診派?それとも健診派?

皆さんは健康診断をご存じですか?「勿論、知ってるよ」と答えられるでしょう。では質問を変えて「なぜ健康診断を受けなければいけないの?」と質問されたらどう答えますか?

いろいろな答えが返ってくると思います。「会社から受けろと言われたから」とか「市から健診もしくは検診が送られてきて、受けなければいけないと思ったから」などなど。

日本語は難しいもので「検診」と「健診」では若干意味が異なります。我々でさえ理解しにくいのですが、辞書では「検診」は特定の病気かどうかを検査、診察することで乳癌検診、肺癌検診などがあります。「健診」は総合的に健康かどうかを診察することで定期健診、乳幼児健診、特定健診などです。言葉の違いこそあれ、第一の目的はどちらも病気の早期発見です。

ここから「検診」と「健診」とを使い分けるため「検診」を「検査診断」、「健診」を「健康診断」とします。自分の中の理解では「健康診断」とは「全体的にザックリと調べること」でつまり「健康かどうかを診断すること」であり、「検査診断」とは「癌などをピンポイントで発見すること」で言い換えれば「検査をして病気を診断すること」です。

どちらも大切ですが、医師としては癌の「検査診断」の方がよりプレッシャーがかかります。なぜなら見落としたらその人の生命に関わるからです。健康であると証明をする「健康診断」は、まだ気が楽です。しかしこちらは異常を発見しても緊急性がなく自覚症状もないため、治療の重要性をご本人に丁寧に説明してもなかなか理解してもらえないことが難点です。いずれにせよ、「検査診断」や「健康診断」を受ける、受けないは自由意志、すなわち個人の考え方にかかっています。

もし「検査診断」を受けるならば、毎年1回は受けること、そうしないと特に癌の早期発見は困難です。みつかっても「手遅れです」では意味がありませんものね。また「健康診断」では異常がみつかっても、痛くも痒くもありませんが、その異常を先送りした後のつけは10年-20年後にジワジワと忍び寄ってきます。そして50歳、60歳になって「さあ、人生を楽しむぞ」という矢先に生活習慣病による脳梗塞や心筋梗塞なども起こしかねません。病気になってから治療するより、ならないように「検査診断」や「健康診断」を受けられるほうがご自身の気持ちもお金も断然お得です。

家に送られてきたままで、ほこりをかぶりかけた「検診」あるいは「健診」の封筒があったら、もう一度考えてみてはいかがでしょうか?

 

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