大学の同級生に27年ぶりに会う~その1

先週地元で介護に関する講演会がありました。それを遡ること1週間前のある昼過ぎ、医師会からの配布物を整理していたら1枚のA4の紙に何となく懐かしい匂いが漂う名前が載っていました。紙ですから匂いなどありませんが、やはり懐かしい匂いを自分の脳が嗅ぎとったことには間違いありません。その講演会の講師がなんと大学時代の同級生のS君でした。同じS君で出席番号も近かったので何かと飲みに行ったり、スキーに行ったりした仲でした。彼は私より成績が優秀で「大学病院に残って研究するのかなあ?」と思っていましたが、やはり医者の息子というシガラミや宿命があったのでしょうか?私と同様に卒業と同時に地元の長崎県に帰っていきました。私が後ろ髪をひかれる思いで東京を後にしたのが27年前の5月下旬のちょうど今頃でした。当時彼がどんな思いで地元に帰って行ったのかは知る由もありません。

27年ぶりに彼の名前を見つけると「まずどうしよう?」と少し動揺しました。すぐに気を取り直して当日の予定を確認すべくネット検索で彼の現在の診療所の電話番号を調べて電話。もう心臓がバクバク。時の経過は人間の性格さえも変えてしまいます。「もし電話での対応がイマイチだったら絶対に後悔するよな」と思いながら呼び出し音を待つ時間の長さはとても長い。そして彼が電話に出た瞬間、やっぱり声は27年前に「お互いに元気で」と言ったその時の声そのままでした。「まずはよかった」と一瞬の反射的な感情です。しかし次の瞬間に「会話してもし当時の彼と大きく変貌していたらどうしよう?」とすぐさま第二弾の不安の波が打ち寄せます。その不安と闘いながら会話を続けます。その間を時間にすればおよそ数秒でしょうか?とてつもなく長い時間に感じます。まだまだ当日の講演会での彼との再会まで到達できません。「その時電話で何を話したのだろう?」と電話が終わってから思い返すのですが、どうしても思い出せません。多分話している最中はまちがいなく20代の頃の会話だったはずです。でも思い出せません。ただ「飲もうぜ」と聞いたら「いいね」と昔のまんまの声が遠くで聞こえたことだけははっきりと覚えています。講演会に出席して27年ぶりの再会とその後の飲み会の約束をしました。電話で話しながらもう一つの頭の中に彼やその周囲にいた友人や私、そして西新宿の街並みが一瞬のうちに呼び戻されてきます。当時は新宿に東京都庁すらなかった時代ですが、高層ビル群の一角は今でも私の記憶と同じ建物がそびえ立っています。そんな中で暮らした6年間、良いことも悪いこともありました。どんどん数珠つなぎのように過去の記憶が蘇ってあふれ出てきます。「ああこれじゃあ、仕事になんないなあ…」と思いながらどうにか夕方まで仕事をこなしていきます。夕刻の仕事終了と同時に「大学時代は朝まで飲んでも結構平気で無理して翌日学校に行ったよなあ」と思い出しながら「夜11時頃から飲み始めても2時頃までなら体力は持つかなあ?」と考えながらすぐさまネットで「田舎の飲み屋は何時まで開いているのだろう?」と調べ始めました。~次週に続く~

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