大阪都構想否決

5月末に大阪都構想が住民投票で否決されました。そして橋下市長は年末までの任期を全うして政治家からの引退を発表されました。誠に残念な限りです。ここまではよくあることですが、今回は住民投票を真剣に考えて参加された大阪市民の方々の視線で考えてみたいと思います。本当に真剣に大阪都になるのが良いか悪いかを考えた末の結果があの僅差の接戦であったことがそれをよく物語っています。一方で自分の住んでいる街の将来を大きく左右する一大事であるのにもかかわらず棄権する有権者もかなりいたという驚きもあります。政治や選挙で物事を決めるときは最大の民意である多数決で1票でも負けたら負けは負けです。だからこそ歯切れの良い主張で民意を吸い上げてきた橋下市長は「勝つための戦を仕掛けて負けたのだから退くのは当たり前」と言われました。もっとものことだと思います。次回の選挙は国会議員であれ地方選挙であれ2万パーセント出馬はないでしょう。一方で多数決の場合、特に今回のように接戦の僅差の場合ですが、半分の市民の想いは無効となります。これも成熟した民主主義国家の「はい」か「いいえ」の二者択一での決定ですのでもったいないけど致し方ありません。今回の住民投票では「普段の橋下市長は好きだけどこの選択は受け入れられないのでNOに投票した」とか「行政の無駄をなくしたいからYESに投票した」など本人の市長への好き嫌いを超えて大阪市のために考え抜いた結果ですので否決に対しては尊重しなければなりません。しかし否決組はちゃんとした対案が出ていないので現状維持を選択したということになります。でもちょっと待って!現状維持が将来の大阪の借金を増やすからこの住民投票に持ち込んだのではなかったのでは?とするとただ振り出しに戻っただけでこれからも赤字体質は抜け切れないのではと思います。また総合区などの案が浮上していますが、それならそれで半分の民意が吸収できなかったわけですから改革を任期終了までは続けてがんばってほしいと思います。

今後の市政運営についてはたぐいまれな政治家である橋下さんを失うことは大阪市にとっては大きな痛手となるかもしれませんが、彼の今までの取ってきた行動をみれば負けるときは潔く身を引くという信条の持ち主のためそれはそれで尊重しなければならないでしょう。大阪の行政もそうですが、もっと地方行政は少子高齢化で財政負担はひっ迫していることにまちがいありません。なぜお役所というところは縦割り行政が得意で横断的に物事を見られないのでしょうか?これについては全ての職員の個々をさしているのではなく個々が公的な集団と化した場合は個の意見は封印されて長いものにまかれなければうまくいかないのかもしれません。それは民間でも同様で組織に属した経験のある方なら多少ともわかるはずです。でも赤字を続けるわけにはいかない。これも真実である。いずれにせよそのような重要な自分たちの未来を選択した大阪市民はより一層その住民投票結果に対して責任をもたなければならなくなったわけです。我々の地方も大阪に見習って成熟した民主主義へ成長していかなければなりません。

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