深海からの使者現る!

ニュース番組で「リュウグウツノカイ」という名前の深海魚が漁の網にかかったという報道を聞いたことがありませんか?通常の深海魚は100mから500mほどの水深に生息しています。水深100mを超えればもうそこは光も届かない暗闇の世界です。そこに住む生物は目が見えなくても聴覚や触覚という感覚で生きています。通常の光が届いている場所に住んでいる人間にとってはボルトが10秒そこそこで走りきる距離ですが、水深100mとはとてつもなく遠いのです。圧力も地上の10倍の水圧がかかります。到底人間はその暗黒の世界では生きていけません。そのような過酷な世界ですが、逆に言えば人間の魔の手が伸びることのない楽園です。その竜宮からの使者がときに海水面に現れてくるのです。やはり地球温暖化が一番大きな原因でしょうか?発見された時には竜宮からの使者はほとんど死んでしまっていますが、運が良いと生きているのです。

2016年7月18日、私と高校2年の長男は山陰の須佐にダイビングに来ていました。年に数回はダイビングをして技術の維持が目的です。折しも梅雨明け初日の暑い午後のことです。昼食を終えて午後のダイビングでいつもお世話になっているインストラクターさんと「深まてかた海岸」からボンベを担いで歩いて沖に向かいました。海岸から100m沖で水深5mほどのポイントでした。その時イントラさんが今までに聞いたことがないほどの音を水中で鳴らしました。「なんだろう?」とそちらに向かって泳いでいくと「タチウオ」のような約1mの生物がプカプカと浮いては沈んでいます。そうです。それが深海からの使者である「サケガシラ」という生物だったのです。その謎めいた生物は光に照らされると透明に透き通ります。また角度を変えて見ると赤ピンクのきれいな色に変化します。そしてその透き通る肌をキラキラと輝かせながら何百もある小さな背びれの1本1本が波打つごとく流れるように動いて立ち泳ぎをしています。その優雅な泳ぎっぷりを言葉で表現しようにもこれくらいしかできませんが、少しは雰囲気を味わっていただけたでしょうか?


海から上がってイントラさんに聞くと生きている深海魚を須佐の海で見たのは初めてとのことでした。そんなプロが初めて見るのですから私たちは本当にラッキーだったのでしょう。将来、映像で見ることはあっても実物と対面することは死ぬまでないでしょう。それくらい幸運に恵まれた一瞬だったのです。そしてイントラさんが必死に撮影していたビデオ映像が3日後のNHKやTYSの地方のニュース番組に登場しました。事前に教えていただいていたので録画もできました。その深海からの使者の優雅な泳ぎをバックにはなんとも間抜けなダイバーがそれを眺めて写真を撮っていました。勿論それが私と長男だったことは潜った仲間だけしか知らない秘密です。しかし今後一生出会えないであろう深海からの使者に今回出会えて200%満足な休日でした。その深海からの使者の姿を掲載しておきますが、優雅な泳ぎはビデオでないとわかりません。ビデオ鑑賞ご希望の方は「須佐リゾート」とクリックしてみてください。優雅な泳ぎを堪能できます。

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