血圧の季節変動

前回は血圧測定についてお話しましたが、今回は季節変動についてお話しましょう。一般的に夏は汗をかき体の水分が減るために血液量が減り、また暑さのために血管も拡がり血管の抵抗が下がるため、血液の圧力すなわち血圧は低下します。

それでは冬はどうでしょうか?冬の寒い朝を思い浮かべてください。体も縮こまるような寒い朝です。そのときには血管も縮こまるつまり血管の抵抗も上がり、夏のように汗もあまりかきませんので体の水分も減らないために血圧は高くなります。つまり冬の方が夏よりも血圧が高くなります。また朝と夜を比べてみましょう。冷え込んだ朝の方が、夜にお風呂に入ったりお酒をのんだりして温まった体より血圧が高いのは直感的にもおわかりいただけると思います。

血圧による病気の発症は夏よりも冬に多く、また夜より朝(午前中)に多いことが統計的にわかっています。また健診のときに高血圧を指摘されても、自宅の血圧は正常という場合もよくあります。いわゆる白衣高血圧といいますが、それはまたの機会に説明させていただきます。つまり血圧は測定する季節、時間帯でかなり変動するということです。ですから一定の時間を決めて測定することは大切なのですが、測定する季節や時間帯を間違えると本当は高血圧で治療が必要なのに見逃されていることもあるわけです。また怒ったり泣いたり緊張したりすれば血圧は上がります。頭に血が上るともよく言います。その時はやはりカッカしているので当然血圧も高いでしょう。

当院では季節性や時間帯も考慮して毎日、起床時と夜寝る前に測定をお願いしています。原則は1年を通してですが、特に冬場の測定は重要視しています。いいところばかりを知っていても不十分で、悪い部分を知らなければ改善もできないし、倒れてからでは遅いですものね。冬場の早朝によく救急車のサイレンを耳にします。消防隊の方に直接聞いたことはありませんが、職業柄そのサイレンは交通事故か高血圧による脳卒中や心臓疾患が多いのではないかと思っております。

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