トランプショック

今年の夏前にはアメリカ大統領選挙で共和党の候補がトランプ氏に事実上決定していましたが、身内からも支持できないとその後もおおもめでした。民主党のクリントン氏と共和党のトランプ氏の対決ではなく、どちらがより嫌いかという消去法の歪んだ構図となってしまいました。海の向こうのお祭り騒ぎですから日本では自分も含めて面白がって見ている人も多かったのではないかと思いますが、本選が近づくにつれて「もしトランプ大統領になったら日本はどうなるのか?」という話題が徐々に大きくなってきたのも事実です。

このような対立構図はかつて日本でも似たようなケースがありました。規模や中傷合戦の派手さは異なりますが、小泉元総理の郵政解散選挙です。当時は自民党内部で対立となりホリエモンなどの刺客も登場して結果的に選挙は大いに盛り上がりました。もう10年も前になりますが、その当時はワンフレーズ名人の小泉元総理の圧勝でした。その結果、自公は過半数を獲得して郵政民営化は進められましたが、その後なんとなく玉虫色になって郵政民営化も色褪せてしまいました。今の世の中は細かいことをゴチャゴチャ言わずに「右か左か」と答えを出す方が勝ちやすいのではないかと思います。そして思慮深く考えることを苦手とする18歳以上の全ての世代が勝ち馬に乗りたがろうとします。言葉使いの荒っぽさではトランプ氏が小泉元総理よりも更に上手で差別ともとられかねない発言も多いのですが、そのワンフレーズにより最初は泡沫候補と呼ばれていた彼が共和党の指名争いを勝ち抜きました。トランプ氏が目指す公約でメキシコとの国境に万里の長城を築いてイスラムや移民を拒否してTPPに反対して日本車に高い関税をかけて日米安保による米軍の日本駐留費を全額日本負担にすれば米国は一人勝ちして孤立の道へ突き進みますが、その彼の姿は北朝鮮の指導者とあまり変わらなくなるのではと感じるのは私だけでしょうか?

そして本選挙でも本当に大どんでん返しでトランプ大統領の誕生です。最後の最後には消去法により反トランプ氏で結束した民主党のクリントン氏に勝ってほしいという大方の日本人の期待も裏切られました。米国民の思慮の裏側にもっと重要な意味があるのでしょうか?これでトランプ大統領の公約ができもしない事だとわかっていても、アメリカが風邪をひけば日本も一緒に健康保険証を持たずに病院に行かなければなりません。この状況は日本の衆参ねじれ現象と相通じるものがあります。そして最後は妥協点の落としどころを模索して中途半端な決断しかできずに、有権者からやっぱり期待していたけど嘘つきトランプ大統領と批判が噴出するかもしれません。そして結局そのつけを誰が払うのかというと国民が払うのです。郵政民営化でも一部はうまくいきましたが、結局うやむやになりました。リーマンショックで10年という歳月を無駄にしました。日米安保という基軸が崩れたら東アジアはどうなるかは自明の理です。今後も米国の核の傘下にある日本としてはトランプ大統領についていくしかありません。トランプショックという不安の門出となりましたが、民間経営者出身の成功者として常識あるトランプ大統領に期待したいと思います。

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