生き甲斐

先日、NHKの朝のニュースでヨーロッパを中心に「生き甲斐」という本がベストセラーになっているという特集がありました。「今更なんで?」と言いたくなるのですが、話を聞いていくうちに「なるほどね」と思いました。まずこの「生き甲斐」という本がフランスとスペインでベストセラーになったのですが、その作者はスペイン人で13年前に仕事で来日しています。仕事はIT企業で来日後も忙しく自分の存在価値を見失いそうになったそうです。自分も含めて仕事に忙殺されて「なんでこんなことばかりしている自分がいるのだろう?」と思ったことは誰しも一度や二度はあるのではないかと思います。でも結局その答えを見出せないまま忙しい日々を過ごしていつの間にかその命題は忘れ去られてしまいます。作者はその時たまたま沖縄の長寿の島に渡って島の人々が生き生きと笑いの絶えない生活を送られていることに驚いたそうです。では「なぜそのような笑いの絶えない生活が送れるのだろうか?」と注意深く観察して作者なりの見解をまとめた本が「生き甲斐」という本なのです。それが瞬く間にヨーロッパ中に広まったそうです。テレビで今回その内容を簡単に10分でまとめられていましたが、「何を今更?されど今更」というシンプルな考えに私も目から鱗が落ちました。

まず日本文化と西洋文化でヨーロッパには「生き甲斐」という言葉が存在せず、アメリカでもその言葉にあたる訳は「meaning of lifeで生きる意味」だそうです。それもぴったりとはあてはまらないようです。なぜあてはまらないかというと西洋文化は「仕事とプライベート」をきっちりと分離する文化です。一方で日本では仕事とプライベートの線引きがなかなかはっきりしません。ですから仕事の内容や時間の延長線上に自分の人生観や価値観が連動してくることが多々あります。それは日本人の誰しもが認めるでしょう。そこで「生き甲斐」とは1)得意な事をする2)好きな事をする3)社会貢献をする4)収入が得られるという4個の集合を全て満たす部分に「生き甲斐」が存在するのです。これはなるほどです。前出の長寿島の人々が凄いことをしているわけではなく、その4個を全て満たしているために島民の笑いが絶えずに生き生きとしていると結論付けています。

定義は人により異なりますので全て正しいとは思いませんが、自分にあてはめると長年熟考してきたことに一致する部分があるのです。今の自分にとって134)はあてはまるのですが、2)好きな事をするということがどうしてもしっくりきません。よく「好きなことをしてそれが仕事になった」と聞くことがあります。それがどうしても自分の中で腑に落ちないのですが、逆にとても羨ましく思うのも事実です。今回の特集をきっかけに「これからの残りの人生を全うしていく上で好きな事は何か?」という命題を以前からの自分が問い続けてきたのだと改めて気付かされました。そして自分がずっとこれからも探し続ける命題は「生き甲斐」なのだとも思いました。見つけられるかどうかは現在の状況や残り人生から考えると不可能かもしれません。しかし諦めるつもりもありません。

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