インフルエンザ予防接種の季節

どこの地域も11月になると、そろそろ今年から来年にかけてのインフルエンザの流行に対する予防接種が始まります。医療機関の風物詩とでもいいましょうか。2年前には新型インフルエンザ(豚インフルエンザ)が流行してかなり社会を震撼させました。新型も2年が経過した今となっては、普通の季節性インフルエンザと呼び名も鞍替えされました。

いつも思うのですが、マスコミによる医療関連報道がやや誇張されすぎることが多々あります。真実が一般の視聴者に正しく伝わってないこともよくあります。インフルエンザの合併症による死亡は少数ですが避けて通れません。また予防接種による副作用も非常に低いのですが、確率的には必ずあることを視聴者に伝えてほしいのです。それを病気の恐ろしさやワクチンの副作用の一方のみを誇張しすぎるテレビ放送をよく見かけます。医療関係者はその部分はしっかりと認識して伝えますが、世の中のテレビっ子はテレビのタレントが発した言葉を医者の言葉よりもありがたがる傾向が若干ですがあるように感じています。たとえば、あるタレントが朝の番組でバナナがいいといえばその週から急にバナナが売れ出すとか。

患者さんに「この薬の副作用はないのでしょうか?」とよく質問されますが、その時は「絶対ないとは言いませんが、非常に確率は低いです。仮に死亡する副作用が出現するとすれば、それは自分が車を運転していて事故って死亡するくらい低いのではないですか?」と答えるようにしています。続いて「それが恐ろしくて車にはもう乗りませんか?」と聞きますと、ほとんどの患者さんは納得されます。やはりいいことをしようとすると少なからずリスクも伴うもので、そのリスクよりも得られる効果が大きいから医療や予防接種などが成立するのです。決して副作用を軽くみているのではありません。起こればその患者さんにとってみれば重大事件ですから。

インフルエンザの予防接種も同じです。接種によりインフルエンザ感染を防ぎ、肺炎や脳炎などの重大な合併症を防ぐ確率が増えるので、皆さんに接種をお勧めしています。今年の夏にはインフルエンザワクチンの品不足がほとんどないとの情報がマスコミから出ていましたが、一転9月に一部のメーカーのワクチンに不良品が出たため、10月末まではどの医療機関でもワクチンの入荷が前年の7割程度しか確保できておりませんでした。そのため当院でも同様に10月末までは一般の方の電話での予約のお問い合わせをいただいても予約をお受けすることができない状況でした。11月になりやっとワクチンが供給されつつあり、当院でもようやく一般の方のワクチン接種の予約をお受けすることが可能な状況になりましたが、まだ入荷量は前年の8割程度です。接種可能かどうかはどの医療機関でもまずお電話で確認された方がよろしいかと思います。接種時期に関しては12月中旬くらいまでに接種されることをお勧めします。

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