新型コロナワクチン接種 ~その1~

1月下旬に河野ワクチン担当大臣が川崎市の体育館を使用して新型コロナワクチン接種のシミュレーションをしました。日本の人口1億2000万人が全てワクチン接種することはあり得ませんが、7割の人が接種すると仮定すれば約8000万人が各自2回接種することになりますので1億6000万回のワクチンが必要になります。それを国は自治体にほぼ丸投げするものですから、各自治体はたまったものではありません。そして自治体はワクチン接種対策チームを新たに発足して今後の対策を検討していますが、絵にかいた餅にならないように願うばかりです。なぜなら自治体にはワクチン接種の全工程の予約や会場確保など多くの仕事がありますが、接種実施は医師と看護師に限られるのです。それでなくとも病院では新型コロナの入院治療が現在進行中で、個人診療所も発熱外来をしています。ワクチン接種以外にも新型コロナ対策には貢献しています。更に半年で全国民のワクチンを確保するから接種しろと上から目線で国は指示してきます。医療側も全国民になるべく早く接種したい気持ちに変わりはありませんが、それでも結果ありきで指示されてもどこにそれだけのマンパワーが残っているのか疑問です。

それでは周南市に目を向けてみましょう。周南市の人口は約14万人で65歳以上が約4.6万人います。仮に4.6万人の7割がワクチン接種希望とします。すると4.6万人x0.7≒3.2万人になります。そして3週間あけて2回接種となると6.4万回になります。6.4万回を約9週間で終了させるためには休みなどを考慮せずに毎日接種したとして計算すると1日に1000回のワクチン接種が必要なのです。1000回ワクチン接種ということは医師か看護師が延べ人数で1000人必要と言い換えることもできます。国の試算では1時間に20人の接種となっています。するとその前後の問診の確認や受付そして接種後の副反応のため15分から30分待機することも考えて大きな体育館などに人を集中させて蜜にならないように事を運ばねばなりません。その前に市町村は接種のクーポン券を送付して市民からの問い合わせや予約の受付もしなければなりません。また今回のファイザー社のワクチンはマイナス75度以下の特殊な冷凍庫で保存しなければならず、接種のために解凍するとそれを数時間以内に使い切らなければ廃棄処分になるのです。全てが初めての試みで対象者は全国民ですので史上空前の大作戦になるのです。ですから国や地方自治体と医療団体そして接種対象者を含めて予測できないトラブルの発生もあり得るわけです。

1月下旬から実際に国からの通達を受けて自治体との合同協議も始まりましたが、テレビ報道の通りいかんせん情報が少なすぎます。実際にワクチンがいつ届くのかも未定でそれでいて4月から高齢者接種開始だけが独り歩きしている状況です。地方自治体も国に振り回されて気の毒ですが、結局最後は末端である医療関係者にしわ寄せがくるのです。「コロナ患者さんの医療を担いながらそしてワクチン接種も急げ」とは厚労省の中間管理職も大変でしょうが、決める側は夜の銀座で豪遊して離党だけですから無責任なものです。

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