ワクチンの副反応と薬の副作用

最近、新型コロナワクチン接種で副反応という言葉をよく耳にしますが、以前から薬に関しては副作用という言葉が一般的でした。医師である私自身も厳密にこの言葉の使い分けを知りませんでしたので調べますと、どちらも有害な影響を与える事象のことでワクチンなら副反応で薬なら副作用を意味します。国語辞典は別として専門家に言わせると「厳密にはそうではない」と言われそうですが、過去の日本の薬剤に対する歴史においてそのように言葉が使い分けられていたようで一般的には同義語と見なして良いようです。しかし素人が言葉だけ聞くと副作用は肝障害など多種の作用があって恐ろしそうです。一方で副反応はワクチン接種で頭痛や発熱など軽い症状であり、待てば自然に治まるように聞こえます。英語ではどちらもside effectで同じ単語のようですが、日本語は多くの単語が存在して異なる意味を持つことも多いために解読は他の言語と比較して難しくしています。このように日本語の使い分けが難しい一例を示しましたが、有害な影響を被ってしまった人にとっては副反応でも副作用でも辛いことに変わりはありません。

10月下旬で新型コロナワクチンを2回接種済の方は日本の人口の7割を超えました。先進国の中では接種開始が遅れましたが、現在では世界で一番多い割合になっています。これに関しては菅前総理の功績に間違いありません。一方でアナフィラキシーショックを始めとした副反応についてはあまり詳細な報道は見受けられません。毎日の新規感染者数は逐一報道するのにどうもマスコミは専門家から言わせれば少しずれていると言わざるを得ません。しかし一般人から見れば国の専門家部会の提言が新規感染抑制のために夜の流入人口の減少や飲食店の営業時間制限などずっと一辺倒でした。これに関しても最初は国民皆がそれを信じて従っていましたが、最近の新規感染者数の激減に関しては従来からの行動変容のみで本当にそれらを説明できるのかは少し疑問です。しかし現時点で国民の8割近くがワクチン接種済でマスクをして行儀のよい国民性が激減に関与していることに間違いはありません。

副反応についてはうやむやのままワクチン接種が開始されて早1年が経過しようとしています。そしてワクチン接種希望者にほぼ全て行き届き3回目のブースター接種についても12月から開始されました。しかしアナフィラキシーショックや心筋炎などの副反応についてしっかりとした情報公開がマスコミを通してなされていません。勿論、副反応に関してはワクチンとの因果関係を断定するのは非常に困難であることは医師としては十分承知していますが、それでも何かしらの情報開示が必要な時期に来ています。なぜなら米国が5歳から11歳の新型コロナワクチン接種を推奨したからです。若年者の1万人に1人程度の軽い心筋炎が発症することは医療関係者からすればリスクよりもベネフィットが上回るということであまり気にしないのですが、素人からみればかなり恐ろしく感じられるに違いありません。その点をきちっと情報開示することが政府には今必要な事なのです。

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