墓じまいと納骨堂

もう8年前になりますが、都会では墓じまいをする人が増えているとテレビで特集をしていました。その当時はそんなに気にしていませんでしたが、両親が高齢になって盆正や彼岸の墓参りは登れないので我々の世代に任せると言いだした頃と丁度重なります。平地にお墓があれば良いのですが、当家のお墓は禅宗寺山の頂上にあり、上り坂は急で高齢者はとても登れません。そんなことは冷静に考えれば誰しもわかるのですが、墓を建立した当時は先祖も若かったのでそんなことも思いもしなかったのでしょう。しかしまだ元気な私でさえ70歳を過ぎると本当に登れるかどうかは自信がありません。また子供たちも年に数回しか帰省せず帰っても雨が降って天気が悪ければ墓参りもできません。そう考えるうちに以前テレビで見た納骨堂の事が頭を過ぎりました。それで5年前に納骨堂にかわるかどうかは別にしてどんなものかを墓参りを放棄した両親を連れて見に行きました。その時は狭い仏壇で費用もかかるしすぐにする必要もないけれど、今後更に核家族化が進めば墓参りも大変になり山頂の墓も草ぼうぼうになるのではないかと危惧もありましたので、そんなに違和感もなく見学終了となりました。

それから3年が過ぎ父親が亡くなり埋葬した後に、母は歩けなくなり墓参りは不可能となった時に車いすでも参れるお墓というキャッチフレーズでふっと納骨堂に移転することが私の脳裏に蘇ってきました。そして子供たちも時間が合わずに家族皆で墓参りなどこの10年していません。思い立ったが吉日ですぐさま今年の秋に墓じまいと納骨堂に移転の計画を実行に移しました。住職に墓じまいの供養をしていただき、石材屋さんに墓から骨壺を取り出してきれいにしてもらい更に墓の撤去をしてもらって最後に納骨堂に移り供養もしてもらわなければなりません。一連の作業に2か月程度の期間を要して11月下旬の小春日和の土曜午後に全ての工程が終了しました。その時も家族皆が集まれるわけでもなく帰省できるものだけが帰省しての供養となりました。墓じまいをする直前に家内と二人で山頂に登り最後の清掃をしましたが、これからは草抜きや清掃は不要になります。また雨や雪でも関係なしに正月に帰省した子供たちもお参りに行けます。そして以前一番厄介だったお盆前後の墓参りは蚊がもぶれついて下山する頃には全身が噛まれまくりになるために真夏でも長袖長ズボンで全身隈なく防備しなければなりませんでした。それがなくなるだけでも墓守にしてみれば大きな解放感に繋がるはずです。

今回の墓じまいと納骨堂への移転計画は私の代にやらなければ次世代では更に困難が予想されるため、今回思い切って行動したことは私にとっては正解だったと思っています。そしてお正月に帰省した子供たちも気軽に参れますし、可能なら車いすを使用してでも母にお参りしてもらいたいと思っています。新しい事をする前は用意周到に考えますが、本当に良かったかどうかは後世が判断すればよいのです。しかし山頂にあった隣のお墓の方が年末に登られた時にいきなり当家の墓がなくなっていたら腰を抜かすかもしれません。

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