専門医制度について

医師国家試験に合格して医師免許を取得すると、法律では医師は内科や外科、更に経験がなくとも産婦人科でも標榜できます。現状の日本の法律ではそれが可能なのです。また経験豊富なゴッドハンドも医師免許を取得したばかりの研修医でも治療内容が同じならば治療点数つまり治療費用は日本全国一律なのです。国民皆保険制度のもとでは当然といえば当然ですが、よくよく考えてみればペーパードライバーも経験豊富なベテランドライバーでも運賃が一律であるのと同じです。しかしその医師が本当にその標榜科目で信頼がおける技術や知識を持ちあわせているかどうかは一般の患者さんからみてもわかりません。そこでこの専門医制度が存在するわけです。例えば内科であれば内科の研修を経て5年以上内科に所属していろいろな病気の患者さんを診療してその実績を症例としてレポートに書きます。病気の種類でいえば約50症例程度を作成して、そこに在籍した所属長から在籍証明をもらって所属学会に提出します。その書類審査を通過すれば医師国家試験のようなペーパー試験が待っています。そして専門医資格を取得できます。またその資格は5年ごとに更新しなければなりません。更新には年に1-2回の学会に出席して最新の医学知識を見聞きして単位を取得します。その単位を5年で75単位取得しなければ更新できない仕組みになっています。この単位を取得するための年1回の全国学会が春から秋にかけて主に都会であります。私は総合内科専門医と循環器専門医を取得しているためその単位取得のために上京することが多いのです。

このように医学の進歩に追いつくためには全国学会の出席や自ら医学雑誌を読んだりしないと5年もしないうちに最新の知識から取り残されていきます。自分としても嫌だし、患者さんも無知の医師は嫌なはず。最近はネットの発達で一般の素人の患者さんでも最新の医療情報を入手して質問されることもよくあります。最新の医療技術や医療機器を持っていなくても、最新の医療知識だけは身に着けて必要あればその技術を持つ医療機関に紹介することが我々末端の診療所の医師の役目だと思っています。だから交通費から宿泊費と学会参加費用などを含めればざっと1回行けば約10万円はかかるため、代わりにネットなどを利用してもう少しお金がかからないシステムへの改革をしてほしいなどといろいろ不満もあるのですが、専門医制度は必要でその費用は必要経費だと割り切っています。

今回は横浜で金曜から日曜までの3日間、日本循環器学会が開催されました。土曜の午後から飛行機に乗って1泊2日の学会出張で、現在羽田行きの機内でこのブログを書いています。春本番の暖かさのポカポカ陽気で桜も開花しています。そのためか快晴の空を飛ぶ機内から富士山を望みたいと思っていましたが、やはり春霞でしょうか、霞んで見えません。しかしきれいな夕日を機上から望むことができました。最近は新幹線でも飛行機でも不運にも富士山をみることができません。明日の帰りの飛行機で望めることを期待したいと思います。では会場から見た横浜の海と東京タワーの写真を掲載しておきます。

東京タワー 横浜

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