新型コロナに負けない!~2022年からの回顧録~PART1 ~

~今回寄稿依頼がありましたので以前のコロナ未来予想図を改編した寄稿を掲載します~

今現在は2022年秋。

新型コロナ騒動から2年が経過してやっと世の中も落ち着いてきましたが、2020年当時はまだまだ新型コロナの収束が見えない中、「打倒コロナ」から「withコロナ」に日本を含めて世界中が舵を切り始めた頃でこの先の見えない敵と見えない不安が交錯して皆が疑心暗鬼になっていました。2020年春の新型コロナ騒動以来やっと新型コロナの予防ワクチンも2021年春に日本は意地でも東京オリンピックを開催すべく前のめりで接種の開始が始まりました。新型インフルの時と同様に当局からの説明不足で末端の医療機関はワクチンの優先順位をつける作業だけでもてんてこ舞いでした。そして2022年にはワクチンも広く行き渡り接種率は国民の7割に到達しています。またこの2年で新型コロナに罹患した患者さんも含めると集団免疫もほぼ確立されて2年前のような大混乱は起きていませんが、いつコロナの遺伝子変異が起こって再流行するかなどまだ問題は山積です。それでは2年前に時間をセットしてBACK TO THE FUTUREのデロリアンでタイムトラベルします。

今現在は2020年秋。

新型コロナのワクチンはまだ臨床試験段階で一般化の目途は立っておらず、せめてインフルエンザだけでも予防しようと医療機関には多くの患者さんが詰めかけています。2020年の夏は新型コロナの流行が一時的に減りはしましたが、東京を中心に若者が多く罹患してまた夜の街の代名詞である歌舞伎町のホストクラブでクラスターが発生しました。またその年の秋から冬にかけては第2波や第3波が押し寄せました。新型コロナ簡易検査キットは発売されましたが、末端の診療所にまでは普及せずに周南地域でのPCR検査センターの設置も遅れています。そして新型コロナは国の指定感染症からはずれないため、診断されるとその地区の指定医療感染症センター病院に入院または県指定の提携ホテルに缶詰めにされます。そしてPCR検査が陰性にならなければ退院や退所もできません。我々医療関係者も防護用具は徐々に整ってきましたが、検査をする際に万一でも感染してしまう可能性があります。毎日の診療で自分も濃厚接触者の最有力候補で気も休まりません。指定感染症医療センターの重症患者さんへの治療は以前の試行錯誤の頃から比較すればかなり進歩してきましたが、日本の切り札と言われていたアビガンもなかなか良い臨床結果が出ていません。結局は半数以上の新型コロナの軽症患者さんは病院に入院またはホテルに隔離されて自分の免疫能力のみを信じて自然緩解を待つしかありません。そして最近は20代から30代の若者の感染者が急増してしかも無症状や軽症がほとんどで、彼らから更に家庭内や職場への二次感染が増加しています。一方で高齢者は新型コロナに感染すると1割程度の致死率になりますので心は休まりません。これからどうなるのかは全く不透明な状況で冬を迎えようとしています。それでは2021年冬に時間をセットして更に時空の旅を続けたいと思います。                                   TO BE CONTINUED

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新型コロナPCR検査外来

先日、周南圏域での病院や行政機関や保健所の新型コロナ対策会議でPCR検査外来設置についての説明や意見交換がありました。本当ならこの6月で私は2年の医師会理事を退く予定でしたが、何の因果かもう2年延長になりましたのでこの会議に参加している次第です。東京など大都市圏では新型コロナ感染が蔓延していますので既に医師会主催のPCRセンターがフル稼働しています。一方で地方ではまだそこまでは蔓延していませんが、現在の東京の状況が2か月後の地方の姿を反映していますので、できる限り早く検査体制を軌道に乗せなければなりません。そのような背景もありこのような会議がしばしば開催されるのです。

今では患者さん自身の症状がありまた渡航歴や接触者に関して不安がある場合に保健所に電話して相談して保健所で疑いが強いと判断されれば検査外来に紹介するという唯一のルートしかありませんでした。よって3月から4月にかけて保健所の電話はパンク状態でした。それは以前から保健所の統廃合や医療機関の統廃合を進めようとしてきた国の政策の失敗です。半年前までは山口県でも統廃合すると勝手に厚労省が決めてリスト公表して現場は混乱しました。図らずとも新型コロナのおかげで行政の一方的な統廃合計画は頓挫して10年以上は話題に出なくなるでしょう。そのような人員不足の保健所に各医療機関からも疑わしい患者さんを問い合わせるのですから大混乱は目に見えています。案の定、一般市民からも医療機関からもトラブル発生します。保健所のスタッフが悪いわけではなく国を含めた行政という組織自体が悪いのですが、保健所の末端の保健師が苦労させられるわけです。それがわかっていてもこちらも引くに引けない状況もあり、電話で喧嘩腰の口論になることも実際ありました。そしてメディアはそれを検査拒否と深読みせずに垂れ流します。そこはメディアもまた悪い。そのような状況下で一旦新型コロナが落ち着いた6月に早く次に備えての会議が始まったのがこの対策会議ですが、もう8月になりました。

ではこのPCR検査外来とは一体どのような仕組みかと言いますと既存の行政主体の保健所から帰国者接触者外来紹介のPCR検査は従来通り残しつつ、我々末端の医療従事者が必要だと判断したら保健所を通さずに自らの手で検査できるという仕組みです。しかしそのためには検査外来の場所やスタッフが必要になります。それはそれでまた医療関係者の献身的貢献によるものが大きくなります。それに関して反対する気は毛頭ありませんが、結局また手を挙げた者や手を挙げさせられた者に負担が集中する仕組みになるのです。それは出席者全員がわかっていますが、会議の場ではお互いの利害なども交錯してその場で決まることはなく自分の所属に持ち帰って相談するということで会議が終了となります。国会でも地方議会でもこのような民間の対策会議でもその擦り合わせがうまくいくかによってそのスピード感は変わってきます。結局は対策会議の出席者通しがどれだけお互いを理解して人間関係ができているかによる根回しが必要となるのはどの世界でも同じです。

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夏休みに子供の帰省はありか? ~自由と責任と義務の3蜜は必須~

前回はGo toキャンペーンについて背景をお話しました。今回が本題の夏休みに子供の帰省はありか?についてです。なぜそのようなタイトルかと言いますと、先日休日診療所で一緒に仕事していた看護師と会話した時に「現在は子供が実家に帰省したくても帰省できない」という病院の規制があるとのことでした。それはそれで各民間個人で立場上医療関係者ですので致し方ないことは重々承知の上での話です。前回の背景も含めて議論しないとあっちの方向に行ってしまいますのでそれこそ下準備が必要なのです。その時の会話で県外の子供が実家に帰省したらその時点で看護師は2週間の自宅待機になります。それを聞いて一瞬ですが「すごくその病院は徹底しているな」と思いました。しかし考えれば考えるほど矛盾が噴出してきます。別にそれが東京でなく広島でも同じなのです。そうだとしたらこれをそのまま東京に当てはめると東京の看護師は皆2週間自宅待機になって医療崩壊どころではなく医療壊滅です。勿論、「それくらい強い規制をしかなければ最近の若者は・・・」という言葉が医師の喉元から今にも爆発する寸前なのもわかります。その相矛盾する状況はどちらも正しいのです。一方で負担や我慢を強いられているのは末端のスタッフなのです。個人的には帰省であっても子供の体調も良く高齢者のいない家庭であまり外出しなければ良いのではないでしょうか?なぜなら子供だって嘘をついて帰省して親に新型コロナを感染させたらどれだけ田舎ではバッシングされるかはわかっているのですから。ただ現在の日本ではその性善説の足元が揺らぐような軽率な行動をとる輩も多いのも事実です。だから2週間自宅待機を受け入れる方もそこまで自己主張をして経営管理者とトラブルになるくらいなら我慢を強いられても仕方ないというのが本音でしょう。

結局、この問題も医療スタッフによる性善説から作り上げられた神話であってどこにも法律違反であるとは書かれてないのです。ただし神話を破ると自分達で作り上げてきた倫理感という勝手な論理で処理されて、その規制から外れた者は周囲から村八分というお咎めを受けるのです。そのようなナンセンスな固定観念が現在の日本では都会でも村でも存在します。そして村でも都会でも感染者や医療関係者への差別がはびこっています。3月にコロナバッシングで山口県の患者さんは夜逃げ同然という噂も聞きました。そのような差別が存在することは武士道とおもてなし精神を重んじる日本人としてとても恥ずべきことです。どうせ一度は感染するのだからとどうして大きな目で対応できないのでしょうか?

それでも政府は3蜜にならぬようにしっかりと感染対策をすれば家族旅行はGoと言っています。一方で専門家会議は医療ひっ迫の可能性を指摘しています。そして検査体制の強化で軽症のPCR陽性者数は増え続けています。一体全体我々は相反する自粛とGo toをどう解釈して子供の帰省はどうすればよいのでしょうか?毎日の新規感染者数の増加で心の中で私も自粛派とGo to派の間を往復しています。いずれにせよ今年の夏は個々の自由と責任と義務の3蜜を伴う行動が必須です。

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Go toキャンペーンありか? ~夏休みに子供の帰省はありか?の背景~

2020.07.24は当初なら東京オリンピック開会式当日です。私愛用の石原10年日記にもしっかりと赤字で記載されています。1年前の今日カウントダウンが始まり地球上の誰が1年後の今日を予想したでしょうか?折しも前日は東京で新型コロナ新規感染者が366人だったと発表されてメディアは大騒ぎです。地方の県知事は大都市への往来を避けるようにとやはりメディアを通じて県民に注意喚起を促しています。それはそれで非常に大切なことです。一方でGo toキャンペーンは東京除外で始まりました。いくら注意喚起をしても国と地方自治体とでアクセルとブレーキを各々勝手に踏めばそれが大事故の元になります。ネットではGo toキャンペーンに反対が8割以上になっています。それはそれで世論ですから受け入れなければなりません。しかしその世論操作をしているのが、メディアであり行政当局でもあるのです。

現在はそのネガティブキャンペーンが主流のためその正論に対して物言えぬ方々もいらっしゃいます。少数意見としてもしこのまま緊急事態宣言を再度出せば地方の中小観光業者は我慢の限界に達して倒産する可能性が高くなります。しかしGo toを積極的に受け入れると感染が拡大して自分やスタッフに危険を曝すことにも躊躇されます。命とお金どちらが大切かという究極の選択になります。前者を選択すれば失業者が増加してその先には自殺者が年間で1万人近くになるとの試算も出されています。現在1000人を突破している新型コロナで亡くなられたご遺族の気持ちを察してもその数字には非常に複雑な問題をはらんでいます。現在の医療従事者の献身的奉仕により現在の死者数を1000人で踏ん張っているだけで、それが崩壊すればすぐに倍々ゲームで死者は増えます。多分政府はそこまで考えているのだと思いますしそう思いたいです。4月に同様の話題が出たとき無知なコメンテーターは「命が先でそのためには全てを封鎖してそれから立ち上がれば良い」と主張しました。しかし別の識者は「倒産して国が荒廃すればそれ以上の死者が出る可能性もあるのにそのような中学生が正義感だけで正論を振り回すような論者は自分の給料が安定している隣の家から遠くの火事場を見ているからそんなことが言えるであって、もし自分が明日の食い扶持に困るならそのコメンテーターが真っ先に経済を回せと主張するはずだ」と反論されて妙に納得させられました。橋下さんは封鎖での死者数とGo toでの死者数を最終的には政府が究極の選択を迫られるかもしれないと投稿されていました。どちらを選択しても死者数がゼロになることは不可能ですからしっかりとその説明責任を政府は果たした上でアクセルとブレーキを両方踏み続ける非常事態なのだと説明していただければネットやメディアで世論調査が8割を超えるような数字は出ないはずです。それでも8割を超える数字が出るならばそれはロックダウンしか選択肢はないと思います。

本当は夏休みに子供の帰省はありか?という内容を書く予定でしたが、その背景を書かないと私の真意が伝わりませんのでまずはGo toについて書いて次回が本題です。

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本当なら今はオリンピック

新型コロナウィルスの影響で東京五輪は延期となりましたが、そうでなかったら今は日本中が歓喜の渦でしょう。また開会式前日の海の日からスポーツの日を含めて土日を入れて4連休と閉会式とその翌日の山の日を入れた連休は平日に戻されませんでした。オリンピック延期決定直後にはそれらの祝日が消えるのではないかとネットで盛んに言われていましたが、祝日を変更するには祝日法というまた小難しい法律があってその変更手続きだけでも国会の承認を得なければなりませんので、このコロナ騒動の中での休業補償や医療体制や緊急事態宣言下で些細な法律変更は国会議員の誰もが無駄な時間と労力を費やすだけだと思ったのでしょう。丁度7月23日の海の日は休日診療所の日直当番に当たっていましたのでもしかして祝日が平日になったら当番もご破算かと淡い期待もありましたが、水泡に帰しました。7月に入ってから東京の新型コロナウィルス感染者が300人に到達しそうで祝日が増えてその連休の期間だけでもステイホームが守られれば少しでも感染増加に歯止めがかけられるかもしれません。しかし政府の方針はGo toキャンペーンは東京を除外して予定通り実施されそうです。一方で夜の街への自粛について都知事を含めて関東近辺の各知事が都民や県民に協力要請をしていますが、これも全く強制力もなくあまり効果がないように思われます。寧ろ感染者の増加に対する恐怖心が一般人の歌舞伎町への足を遠のかせているに過ぎません。一度自粛解除をすると再び規制をかけるのは誰しもとても勇気がいることです。検査体制の充実により感染しても軽症か無症状の若者が多数を占めているという理由で国も東京都も再度の規制には二の足を踏んでいるのかもしれません。確かに現在は緊急事態宣言前の4倍以上の検査能力がありますので現在の200人は4月で言えば50人程度の感染者に相当するのでしょうが、それでもこれから徐々に重症者が増えてくることに間違いありませんので東京の指定感染症病院はたまったものではないでしょう。政治家が言う医療体制のひっ迫と医療関係者が考えるひっ迫は明らかに異なります。そして梅雨が明けると熱中症の救急搬送も増えるため医療機関は大変です。

もしコロナがなかったら「今はどの競技を観て盛り上がっているのだろう?」「来年の今頃はオリンピックで盛り上がっているのだろうか?」と誰しも想像したのではないでしょうか。最悪の場合、コロナでオリンピックも中止となり鬱々とした気分で夏を迎えているかもしれません。それこそ1年先のことなど鬼が笑っていますが、現在の状況では日本中が1年後のオリンピックを楽しみに待っているという雰囲気には到底なっていません。アスリートも大変苦しい胸の内かと思いますが、日本中の皆が「ガンバレ、ニッポン」とエールを送れるような雰囲気にならなければなかなか開催も困難かもしれません。そのためには何といっても「打倒、コロナ!」を合言葉に早くワクチンが開発されて世界中に供給されなければいけません。戦後奇跡の発展を遂げたニッポンが今再びオリンピックを前にその底力を試されていると言っても過言ではありません。

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