最後の運動会は無観客で決行

かれこれ足掛け20年に及ぶ長女の幼稚園からの運動会参加も今年の次男の高校2年の運動会でフィナーレを飾ります。次男の学校は高校2年で運動会は終わりという不文律な伝統があります。更に中高合同運動会は毎年昭和の日に開催されますので「高校3年生もまだ春だから参加させてもいいのではないか」と中学に入学した最初の頃はどの親もそう思います。また「そこまでして大学合格実績が上がるとは思えない」とか「子供たちの意見を尊重すべきだ」と喚きたてます。実際に私も以前のブログでそれと似たような内容を書いています。一方で学校側は毎年高校生にアンケートを取っても高校2年で運動会は終わりで良いという意見が大半だと言います。それはその学校の先輩達が作り上げてきたものでそのように仕向けられた伝統だと思っています。しかし今年は新型コロナでそれどころではなく4月の運動会は早々に延期となり9月の文化祭とセットで開催されることになりました。オリンピック同様に中止でなく延期で幸いでした。また入学して5年目に入り学校の良い面も悪い面も知り尽くし入試まで残り1年半を切ろうかという時期になってくると以前は高校3年生も運動会に参加したいと言っていた次男でさえ「今回が最後でよい」と言い出しました。結局は先達によって築きあげられた伝統はなかなか変えられないようです。勿論、我が子だけの意見で学校側のアンケートではありません。

そのような背景の元で全国的にコロナ感染の拡大を伴い土曜日に予定されていた文化祭は結局中止となりました。そして運動会も当日雨で翌月曜に順延になりました。そして最近流行りの無観客での運動会の決行となりました。本当は観戦に行きたかったのですが、このコロナ禍では仕方ありません。しかし自分の中では大きな節目となる子供たちの最後の締めくくりの運動会でしたのでとても残念です。そして歳をとるにつれて「一つ一つ些細な事でも今を逃せば必ず後に後悔する」という自分がこの20年間モットーにして行動してきましたので、最後にドタキャン運動会になりましたが、それでも自分の中ではまた一つの大きな子育てイベントが終了したという残念な達成感も混在しています。そして長女と長男が順番に一人ずつ高校を卒業して来年は次男がトリを務めます。これから生涯ずっと卒業する順番は同じです。昔、子供たちが小学生の頃はまだまだ果てしなく長い未来への道が続いているように見えてついつい子供に対して手を抜きたくなります。しかし中学生になるといきなり身長が伸びるように成長のスピードが増してあっという間の3年間が過ぎます。そして高校になると受験も絡んで更に3年なんて一瞬のように終わります。そのような12年間を3人の子供で合計36年分経験させてもらえたことは本当に自分にとっても有意義な人生を送らせてもらいました。そして子供たちも大学生になると流石に親離れをしてきますが、逆に親はなかなか子離れができません。自分が歳をとってもいつまでも子供は子供なのです。子育ては親にとってとても大事な仕事でこれからもしっかりと子供の成長を見守っていきたいと思っています。

カテゴリー: 未分類 | コメントする

行政と医療の隔たり

以前、Go toとお盆の帰省について書きましたが、今回はそれに少し付随して行政と医療の隔たりを書きたいと思います。すでに何度も取り上げられていますが、7月末のGo toの開始の時に政府は「現在医療のひっ迫状態にない」という全く川の向こう側からの主張でした。しかし実際に船を漕いで川を渡っている行政の首長である船頭の都知事もある意味「現在ひっ迫はしていないが、今後かなりヤバイ状況に成り得るから4連休はステイホームをして」という呼びかけでした。一方で川のこちら側で実際に治療にあたっている医療代表の専門家会議の教授は「医療状況はヤバイ状況だ」と真っ向から否定されました。三者三様な意見です。皆それぞれ立場が異なるのでそれは致し方がなく最終的には政治が判断して結果責任をとるのが民主主義ですのでそれは皆が認めます。しかしその国であり都であり行政と医療の間にはかなりの温度差があるのも事実です。まずその理由として「行政がこうしますよ」と言えば反論しても従います。医療側からすればもう少し現場の意見が反映されなければ「絵に描いた餅」になるよという抵抗がある場合に今回のような意見が出ます。現在でも死者が2000人までいってないというのは医療関係者の献身的な努力の結果なのです。勿論、行政だって徹夜の連続で指針をまとめて国会や地方議員はそれを必死で立法化する。これも死にそうな思いでやっていることであり軽視しているわけではありません。また自粛を受け入れる中小企業も死活問題を横に置いて皆頑張っているので軽はずみな事も言えません。今回の医療者からの発言はそれを全て理解した上での意見です。思いつきで勝手に発言して責任もなくその場から立ち去るネットのにわかコメンテーターとは違うのです。

それを踏まえた上で医療体制はひっ迫状態であるというのですから、行政は真摯に耳を傾けなければなりません。地方でまだ東京ほどひっ迫してない状況でもひとつタガが外れると一気に新型コロナの波が押し寄せて医療崩壊への危機へまっしぐらです。そのために地方でも行政が頑張っていますが、なかなかこちらが思うこととは隔たりを感じることはしょっちゅうあります。しかしその不満をたらたら並べても発展性がありませんので、この危機的状況でお互いに歩み寄れることと歩み寄れないことをはっきりさせること自体は非常に良い機会ではないかと思います。平時ではそのような会話は成立せず未来の緊急事態のことを議論しても先送りになるだけです。このような時こそお互いの隔たりを解消する大きなチャンスかなと前向きに捉えるようにしています。

これから冬にかけて間違いなく医療はひっ迫状態へと向かいます。そうならないように1日でも早くPCR検査体制を充実させることは現在の喫緊の課題です。そしてその先には検査対象者となる市民の協力と意識改革が不可欠です。その啓蒙に地方行政や医師会や救急医療を担当する病院からの発信も必要です。市民も「私は素人だからわからない」と言うのではなく勉強して皆が賢くならなければなりません。

カテゴリー: 未分類 | コメントする

新型コロナワクチン国別争奪戦

今夏から各国で新型コロナワクチンの人への投与いわゆる治験が始まっています。未知の副作用が出るかもしれない海の物とも山の物ともわからない代物に各国が製薬会社と何千億円という大枚をはたいて契約して優先購入権を取り付けています。現状が世界中で緊急事態ですのでワクチンの国別争奪戦はやむをえません。そして日本は欧米各国と比較して遅れをとっていましたが、米英の製薬会社と契約はできたようです。どの国も自国優先は譲れませんのでこのような状況に陥るのですが、お金のない若しくは政情不安の小国はその争奪戦の土俵にさえ上がれないのも事実です。そのような問題が山積していますので本当ならWHOが先頭をきってイニシアチブをとらなければいけないのですが、それも報道を見る限りうまく機能しているようには全くみえません。

それではワクチンは実際のところどうなのでしょうか?報道を聞く限りでは日本の製薬メーカーの開発は遅れています。この秋にどんどん治験を進めても実際に一般国民に行き渡るのはどんなに早くても来年早々でしょう。そしてオリンピックまでに全国民に接種することが当面の目標です。一方で実際に接種開始になっても誰から優先に接種するかがまた問題になります。まずは医療関係者の中でも都会を中心とした新型コロナ入院患者さんを受け入れている病院関係者や空港検疫など水際対策関係者をいの一番にしてほしいと思います。それから重症化しやすい既往症のある高齢者でしょう。その順番で最初の全国民に接種するのに半年はギリギリのタイムテーブルになるでしょう。それと同時に運悪く感染してしまう方もかなりの数いらっしゃいますが、今の日本のペースでは何十万人に達することはないでしょう。すると結局のところほとんどの国民が接種するか感染するかでいわゆる集団免疫を獲得するためにはワクチンによるところが大きくなります。しかし万一ワクチンの副作用が報告されれば全て白紙になってしまいます。

ネットやテレビで以前から「あなたの少しの寄付で飢餓から未来ある子供たちを救えます」と放送されています。新型コロナとは違いますが、結局は弱者の上に強者がいるわけで今回の新型コロナワクチンの開発はお金持ちの強者がしなければどうにもなりません。しかしそのお金持ちだけがその恩恵を受けるという現在の資本主義の考え方は間違いではありませんが、いつも複雑な思いになります。しかし強者が作り出した物を弱者から順番に渡して強者が最後というルールなら私でも開発しませんしお金も出しません。人間の理性と強欲をバランスよく取るのは至難の業です。今現在の新型コロナワクチン国別争奪戦にはそのような問題が大きく横たわっています。その不平等感の中から少しでも世界各国が平等に事を運ばなければ東京オリンピックはないでしょう。日本が自国でオリンピック開催にこぎつけるためには今回は最大多数の最大幸福の新型コロナワクチン接種を率先して世界中に平等に行き渡るようにしなければ、日本は新型コロナとオリンピック中止というダブルの負の遺産を負うことになります。

カテゴリー: 未分類 | コメントする

今年のインフルエンザ予防接種と健診

今年もインフルエンザの予防接種が10月から開始されます。しかし新型コロナの第二波の影響で今月末から早めに接種開始を予定しています。今接種すると来年の3月まで持続しないのではという不安もありますが、過去には1か月の間隔をあけて大人も2回接種する時期もありました。しかしその効果と負担の関係で10歳以上は1回接種に統一されて早10年になります。この新型コロナ騒動の最中では9月に1回接種して1月に2回目の接種もありではないかとこれはあくまでも個人的な見解で実際にするかどうかは別問題です。一人に2回接種すればそれだけワクチンが不足する可能性がありますのであくまでも1月の時点で使用せずに廃棄になるくらいならそれもありかと思うのです。一方で前のめりになっている新型コロナワクチンも来年早々には優先順位を決めて接種開始の可能性もありそちらのタイミングも重要です。識者の意見では今年のインフルエンザは手洗い、マスクの徹底でかなり減少したとのことでした。裏を返せば昨年までのインフルエンザ予防対策は「言うは易く行うは難し」を体感表現していたのかもしれません。個人的にも今冬ほど手洗いを徹底した年はありません。以前からそれなりに注意していましたが、今冬と比較すると比較になりません。そのため来冬のインフルエンザも3蜜を避けて感染予防を徹底すればもしかしたら小流行で終わるかもしれません。そうなればいいなということで「たら・れば」は当てにはなりません。いずれにせよ2021年の冬のコロナ&インフル感染症流行は最大の難関でしっかりと準備しなければいけません。

次に健診の話題です。通常の春健診は5月から6月で秋健診は10月から11月ですが、今年は5月が自粛月でしたので6月から慌てて7月までに終わらせました。次は10月からですが、第二波、第三波の可能性もあり早めに9月から準備するように各会社に伝えています。一方で毎年5月から6月の学校健診は全て秋に延期になりました。学校関係者は10月から11月の希望ですが、感染の状況によっては再延期の可能性もあります。教育委員会は感染の流行のことを考えているのか甚だ疑問で、そのようなアドバイスをするブレインが行政には不在なのかもしれません。しかし個人的に主張してもきりがありませんので10月から11月に新型コロナで社会混乱が起きていないことを信じたいと思います。患者さんの中にも「会社から受けろと言われて健診に来た」とインフルエンザ大流行の時期に来院される方が結構いらっしゃいます。はっきり言って健常人が健診でインフル感染するリスクが非常に高いのでその時期は外すべきですが、素人にはわからないのかもしれません。私は事務スタッフにそのような電話依頼があればその旨を伝えるようにさせていますが、世の中ではそのような常識は蔓延してないのでしょう。そのような周知も医療行政がしていかなければなりません。いずれにせよ今冬のインフル&コロナ感染症流行に備えてできることは早く手を打って終わらせておくことが大切です。自然災害同様に備えあれば患いなしで準備しておかなければなりません。

カテゴリー: 未分類 | コメントする

新型コロナに負けない! ~2022年からの回顧録~PART2

今現在は2021年冬。

特に2020年から2021年にかけての冬は大変でした。例年通り2021年の年明け早々のお正月をはさんだ民族大移動の結果、ウィルスが拡散されてインフルエンザの流行の季節到来です。新型コロナとインフルエンザの鑑別診断はとても重要なのですが、積極的にPCR検査をすれば他の患者さんや医療スタッフへの新型コロナの二次感染の可能性も高くなってなかなか例年と同じように綿棒を鼻に突っ込んでインフルエンザの診断はできない状況です。また新型コロナが指定感染症から外れれば検査やその後の方針にもう少し医師の裁量で融通をきかすことができますが、今のところはそれも困難な状況です。もしインフルの検査が陰性で新型コロナ陽性ならフル装備をしていなければ検査した者も濃厚接触者として保健所はカウントします。末端の診療所で従来と同じインフル疑いの検査でいちいち宇宙に行くような出で立ちで患者さんの鼻に綿棒は突っ込めません。綿棒を鼻に突っ込むと同時に映画で観るような一場面のゾンビに感染されて一緒に自分もゾンビになってしまうような光景が脳裏をよぎります。そして検査した医者までも患者さんと一緒にセットで措置入院ではしゃれにもなりません。そんな寒い冬の毎日の連続で私の神経も擦り減らしています。新型コロナを入院させる病院は病院で医師や看護師を含めた医療スタッフもその対策や治療に追われて、国の決めた過重労働時間を遥かにオーバーして皆が疲弊しきっています。それでも医療関係者はその使命感だけで切れかけた糸をどうにか切れないように頑張っています。一方で医業収入は新型コロナに対して頑張れば頑張るほど減少して冬のボーナスは減りました。泣きっ面にハチとはこの事を言うのでしょう。某医大では夏のボーナスゼロ回答で労組が猛反発して多数の退職希望者が出たことも記憶に新しく残っています。これではホストクラブやパチンコ店と同様に日本の医療界も持ちこたえられません。現場としては少しでも早くワクチンや治療薬の実用化が待たれます。そしていつになれば新型コロナから新型の冠が取れて指定感染症から外れるのかを医療関係者は皆心待ちにしています。それまでは新型コロナと共存していくしかありません。

今現在は2020年夏。

2年先までの未来予想図を描いてみました。このシナリオが少しでも覆されて良い方向に向かうことを願っています。また6月には日本医師会の会長選挙がフェイスシールドを施して行われる様子が全国ネットのニュースで大々的に放映されました。そして中川新会長が選出されて新執行部に日医会員は今後の新型コロナ対策を期待しています。もう2019年の社会には戻れませんが、「打倒コロナ」の合言葉ではなく「withコロナ」で対応していかなければなりません。そしていつもの贔屓の飲み屋でマスクやフェイスシールドをつけないで昔みたいにどんちゃん騒ぎをしている光景が懐かしくなりましたので、これから過去の記憶の旅にまた出発します。

THE END

カテゴリー: 未分類 | コメントする