人間ドックは5年ぶり

医者の不養生という言葉をよく聞きますが、それは本当でしょうか?自分や周囲を見渡してみると当たらずとも遠からずというのが実情です。なぜかといえば私は勤務医の頃はまだ自分は若いという勘違いと忙しさにかまけてやる気になればすぐにでも自分の病院でドックはできるのにしませんでした。開業すると1日休みをとって健診するには自分の休みと健診機関の日程を合わせないといけません。これがなかなかうまくいきません。ですから毎年やるにこしたことはないのですが、オリンピックのように何年かに一度の大行事になってしまいます。また大行事にするなら一度に全てを短時間で終わらせたいためにPETを含めた健診を一気にしてしまうことが一番効率も良い事が長年の経験でわかってきました。

よって今回はコロナ禍でオリンピック延期と同様に1年延期して今年のドックになりました。メダリスト同様に今回を逃すとドックも次回にというわけにはなかなかいきません。ですから半年前から用意周到にお盆休みの計画を練って4月にいの一番に予約を入れます。年末年始は検診期間も休むため最初から難しくその他の休みでやるならばお盆休みしかありません。徳山地区の診療所は8月13日から15日にお休みが多く、新南陽地区は14日から16日を休む医療機関が多いのです。勿論、最近の診療所は全くのっとってない場合もありますが、16日が唯一の狙い日になるのです。そして今年は16日が月曜でしたので今年しかないということになりました。

ドック前日までに大腸癌検診の準備や記入書類の準備、そして体調を整えて8月16日の朝を迎えます。前日の夜から絶飲絶食です。ドックの前1週間はアルコールも控えめにしますが、今回は受験の天王山でそこまでアルコールを飲むほどの余裕もありませんでしたので、血液検査の数値は過去で一番良い数値がるのではないかと淡い期待をしています。当日は診る側から診られる側になりいささか緊張の面持ちで朝一番で本城クリニックで受付です。まずは採血、そして胃カメラ、腹部超音波、全身CTや頭部MRIをして最後にメインのPETです。PETが万能ではありませんが、現時点では短時間で健康人が少しでも早く早期癌を見つけられるとすればPETが一番だと確信しています。CTやMRIやPETを同じ日に行う場合、安静にじっとしている時間がかなり長くなります。緊張で寝入るわけにもいかず過去から現在そして未来に至る自分のこれからの事を4年に一度振り返って計画を立てるにはもってこいの時間でもあります。昼過ぎに全てが終了する頃には次回のパリオリンピックまでの自分の大まかな経過の青写真も完成しています。そして午後2時頃には本城先生から直々に結果説明を受けてドックも終了です。

結果は全てほぼ異常なしで血液検査も悪玉コレステロールと尿酸値がやや高めでしたが薬を飲むほどではなく、更に運動療法の強化実施予定です。ただし私がいつも患者さんに説明する場合、人間ドックは年1回が妥当で2年以上開ける事はお勧めできません。その意味では私自身が医者の不養生と言われても反論できません。

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中学生の新型コロナワクチン接種完了!

8月の日曜日に周南市内の中学生の新型コロナワクチン接種をしました。山口県はワクチン接種では全国でトップを走っていますが、中学生の接種も全国でもかなり早く行われました。まだ全ての県民や市民にワクチン接種が完了しているわけではありませんが、希望者のみで考えれば12歳以上の全ての県民に行われたことになります。これでワクチン不足さえ解消されれば10月までには全ての県民に行き渡るはずです。これもひとえに知事をはじめ県や市の行政担当のご苦労の賜物です。

最初に医師会に市内の中学生の接種の相談を受けたのは6月中旬で、県知事が市町村長を集めて高校をはじめとして中学生も接種すると号令をかけた直後でした。その前後には文部科学大臣が「学校での集団接種は馴染まない」と全国放送で流れましたので、中学生の集団接種はお蔵入りかなと思われていました。しかし山口県はこのような状況でも行動が早いためどんどんと話が進んでいきました。最初は学校での集団接種を基本として考えていましたが、我々は現行の予防接種法では昔と異なり学校での集団接種を想定していないことやワクチンの取り扱いや副反応や保護者同伴など様々なハードルが多くあったために学校ではなく大規模会場での接種を行政側に要請しました。市側は市文化会館や競艇場やふれあいセンターなどの接種会場を8月の日曜日に確保できたため、接種方法などの手順を7月中に市と医師会で詰めていきました。5月頃と異なり集団接種のノウハウが蓄積されてきましたのでスムーズに進みました。当初は市内の中学生と教職員が全て接種する場合は最大で5000人を超えるかもしれないという概算がなされていましたので不安もありましたが、各方面の医師や看護師や薬剤師の協力で想定以上の人材確保ができ非常に有難いことでした。そして各会場の下見も行って全てを整えて7月下旬に説明会を開きました。

そして実際には8月の日曜に東西2か所で500人、計1000人接種してそれを第1、2週に分けましたので、接種者は当初の最大人数の半分程度の2000人強でした。注射後に少し気分不良になった生徒さんも数名いらっしゃいましたが、大きな副反応もなく無事第1回目が終了しました。お盆をはさんで3週間後の第4、5日曜日に同様に競艇場と文化会館で2回目の接種も無事終了し、自分にとって大きなミッションもクリアできましたのでホッとしています。現時点では新型コロナワクチン接種は法律上12歳以上ですのでこれ以下の年齢での集団接種は想定されていません。万が一に年齢制限が撤廃されれば再度集団接種も検討されるかもしれませんが、現状でのワクチン不足や治験の進み方そして20歳から60歳のまだ接種できていない方に早く接種することが先決です。その結果として重症化や新規感染者増加に歯止めが徐々にかかってくると思います。

今回の写真は、以前ユーミンがクリスマスコンサートを行った文化会館です。舞台から眺める観客席は壮大で、当時のユーミンが我々を見渡した時と同じ気持ちになりました。コンサートはまだまだ時期尚早ですが、少しでも早く普通の生活に戻りたいものです。

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夏休みこそ受験の天王山

ゴールデンウィークは受験の天王丘と書きました。そしてとうとう本当の天王山がやってきました。高3の場合は課外授業などが目白押しで帰省するのはお盆前後の1週間がやっとですので、当初は短期集中5日間の天王山の予定でした。しかし新型コロナワクチン接種で7月中に2回の帰省を余儀なくされました。そして次男の受験日が学校の大半の生徒よりも2か月以上早いこともあり、なかなか他の生徒と足並みを揃えて勉強しても効果が上がらない事も当初からわかっていました。うちの子のお受験偏差値脳が高ければ何も悩まずにほったらかしにするのですが、そうはいきません。因みに「お受験偏差値脳」とは日本の種々の受験に対するおつむの適応能力を数値化したものと定義しています。生きていく上での適応能力や対人のコミュニケーション能力を表す数値ではありません。親バカが言うのもなんですが、もし地球滅亡1日前なら他の兄弟よりも次男が一番生きる術をもっているのではないかと思っています。あくまでも期待も込めてではありますが。そのような尻に火がついている状況の次男ですので、7月下旬の2回目のコロナワクチン接種のために帰省したまま実家で天王山突入と相成りました。

現在、私の頭の中には慣れない物理と化学の記号があふれ出しそうな状況です。数学は今春からずっと寮とZoomで毎日コツコツと二人三脚でやってきましたので今回は二の次です。勿論、英語と数学が受験の肝であるのは当然ですが、それは一朝一夕の3週間程度ではものにはなりません。一方で理科はそれだけの時間があればかなりお受験偏差値を上げることも可能なのです。というわけで7月下旬からお盆過ぎまでは物理と化学三昧となりました。過去5年の試験問題を研究すると推薦問題から一般入試問題まで見るだけでもかなりの分量があります。自分がある程度内容を把握していないとその問題のレベルもわかりませんので以前から一通りの物理と化学の教科書や参考書を読んでいました。しかし数学と異なり自然科学では特にイメージを大切にしないと物理と化学は理解できません。そのために教科書を1回読み終えた時はただ文字を追っただけという感じでした。3回読み終えるとやっと書かれている内容や行間が理解できるようになり、試験の出題者の気持ちがわかってきました。あくまでも60歳に近い人生経験を経た者が3回読んでその域に達することができるのです。次男の場合はお受験偏差値が低い分5回繰り返す必要があると思いますが、そこまで理科に時間を割くことは不可能です。それなれば老獪な大人が過去問を研究して出題者が意図している2022年度の問題の山を張らなければならなくなります。そして次男と一緒に勉強しながらこの内容は出題されたら捨て問でここだけは取らなければ不合格という風にかなり大胆にカットして3週間で終わらせました。

今回の天王山は理科の山張りに終始しましたが、興味をもって勉強すれば自然科学は数学以上に面白い学問であることを再認識しました。受験とは関係なしに4回目を読めばもっと自然科学に対して興味を深めることができると思います。

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自分を信じて頑張り続ける

前回はTokyo2020についてコロナと絡めて暗さがありましたが、今回はスキッと明るくいきたいと思います。必ずこのような大会ではヒーローやヒロインが誕生します。しかし今回は多すぎて絞れません。やはり一生に一度の自国開催ですからこの8年間の各競技団体の思い入れが並大抵ではなかった証です。一方で金メダル確実と言われた選手が予選落ちというのも多く目にしました。外野は油断やスキがあったのではと言いますが、勝手に言わせておけば良いのです。このような大きな大会に出場するだけでも大変なのに出場した選手は各国の国旗を背中に大きなプレッシャーがかかります。誰しも明日のプレゼンが一世一代の大勝負という事を経験したことがあるでしょう。その時全ての参加者が成功するとは限りません。寧ろそこで悔し涙を流す人の方が多いのです。それを薄っぺらな言葉で表現するような輩は無視すれば良いのです。世の中には好きな事だけを言う人が多くいます。そしてSNSが発達した現在では、心無い批評をする人が多く存在します。表現の自由という言葉のみが独り歩きをしています。発言するにはそれなりの自己責任が必ずついて回らなければなりません。五輪期間中に選手に対するSNSでのバッシングは非難されなければなりません。匿名だけで成立するSNSが世の中に与える功罪を社会が真剣に考え直さなければいけない時期に来ています。

それでは本題です。金メダルを取った選手、惜しくも銀メダルの選手、予想外に予選落ちしたメダル候補選手、そして全く注目されていなかった選手が力を出し切って取った金メダルなどそれぞれその選手の人生を賭けたメダルがありました。選手全員に言える事は人生の全てをその瞬間に捧げてきたことに間違いありません。その長く大変な道のりを我々は全く知りませんが、最後の瞬間でその選手の向き合ってきた人生が見えてきます。そしてその重さに「自分は決してそんな大それた事なんてできないよな」と思います。以前はそう思っていました。しかし最近はそう思わなくなりました。人それぞれの人生が違うように掲げる目標も努力の度合いも異なります。その異なったゴールに向かって日々努力することこそが大切なのです。少し青臭い事を言うようですが、本当にそう思えるようになってきたのです。子供時代は頑張れば結果が悪くても努力賞をもらえました。大人になると結果を出さなければ全くダメで賞の時代も経験しました。そしてこの年になると結果よりも大切なものも見えてきます。ナンバーワンは世の中に一人しかいません。しかしその途中過程でオンリーワンが多く脱落して最後まで残って競い合ったオンリーワンが金メダルなのです。その過程で誰しも皆が自分を信じて頑張り続けます。その初心さえ忘れずに持ち続ければ最後の最後は誰もが自分に金メダルを自分の手で首に掛ける事ができるのです。今回のコロナ禍では選手は自分で自分に金メダルを掛けていましたが、誰もが自分に金メダルを掛けることができるのです。他人が評価するのではなく最後は自分が自分を評価して「いい人生だった」と言うために自分を信じて頑張り続けるのです。

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新型コロナ感染者数激増とゴールドラッシュのTokyo2020閉幕

昨年に続き今年のお盆も心休まる気配を感じませんでした。8月初旬は東京の新型コロナ感染者数は5000人を超えました。一方、Tokyo2020で日本選手の活躍で金メダル27個を獲得しました。どちらも数字上では史上初になりますが、水と油の混成状態で複雑な様相を呈しています。国も地方行政も「今年のお盆は自粛を」と叫ぶばかりで一向に新型コロナの第5波の収束が見えてきません。昨年も「今年のお盆は自粛でステイホーム」、正月も同様に「最後の自粛の正月」と言いながら「我慢のゴールデンウィーク」と続き、毎回「今が感染を抑える最も重要な局面」と繰り返して1年半が過ぎました。デルタ株で局面が変わったこともありますが、九官鳥のように同じ発信を繰り返すだけです。流石に国民も自粛疲れと慣れで「笛吹けど踊らず」とはこの事を言うのでしょう。

ではなぜ国の自粛要請に国民は従わないのでしょうか?新型コロナ対応の難しさは十分理解していますが、国の政策が行き当たりばったりで発信の一貫性と整合性が無いことが一番の原因だと思います。最初のうちは朝令暮改の発信でも仕方ありませんが、1年半経過してもまだ整合性が取れない発信では国民はついてきません。最初はここを我慢してワクチン接種をすれば少しはマシになると誰もが思っていました。しかし実際はワクチン接種をするか実際に新型コロナに感染するかして国民の7割以上が免疫を持たなければ結局社会は変わらないことがわかりました。65歳以下のワクチン接種率が3割程度ですのでまだまだゴールは先で見えてきません。一方でTokyo2020は日本選手のゴールドラッシュで無事閉幕しました。参加選手個々人に対しては自分の人生を賭けた戦いで素晴らしいパフォーマンスを見せていただけたことに感謝しなければなりません。

ではどうしてこの相反する事象を目の当たりにしながらモヤモヤした気持ちが残るのでしょうか?日本国民の皆が同じ方向に向いていればどんなに苦しくともやるしかないので「右向け、右!」ができるのです。それが丁度昨年春の第1回目の緊急事態宣言の頃でした。しかしその宣言が何度も続くと誰もがいらだちを隠せません。そうすると誰かがルールを破り始めますが、それを処分しない行政がワンパタでお願い自粛を繰り返すだけで「正直者が馬鹿を見る」という悪循環に陥ります。そして社会が分断されて不満が更にたまっていきます。それが現在の状況だと思っています。田舎から見れば「なぜ都会の接種していない若者は外に出歩いて感染するのか?」と思いますし、都会の若者は「田舎ばかりワクチン接種が優遇されて都会は後回し」と思っているかもしれません。統一された情報発信がしっかりなされていれば疑心暗鬼になることはありませんし、不公平感をなくせば皆は従います。そしてリーダーシップの無い人がトップに立ってはいけないということが今回よくわかりました。大番頭が社長になっても国のかじ取りは難しいのでしょう。自らのパフォーマンスを披露したTokyo2020の参加選手に感謝と敬意を表しながら、決めることのできないリーダーはこの秋に交代してもらわなければなりません。

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