満足度は人それぞれ異なる

私は患者さんに薬をのむかどうかで本人が迷われる時にわかりやすく説明する例えとして「あなたが高校生の時いつも定期試験で満点を狙っていましたか?」と質問します。その時にほとんどの方は満点を狙っているとは答えません。患者さんで過去に満点を狙うと答えた人は一人しかいませんでしたが、本当に満点を狙っていたかは疑問です。ほとんどの方は60点から70点あればいいと答えます。昔の試験で言えば「優」「良」「可」「不可」のうち「可」になります。ところで最近は医学の世界でも「エビデンス」とか「ガイドライン」などに則って治療するという方法が花盛りです。それはそれで正しい事ですのでケチをつける気は毛頭ありません。しかし「高校生全員が100点満点をとったら、皆が東大に行って大学の存在価値自体がなくなるのではないでしょうか?」と逆に患者さんに投げかけるのです。患者さんはその質問に対してすっと腑に落ちたような顔になります。最近また高血圧の治療ガイドラインが変更されて降圧目標を130mm/80mmHgに下げると発表されました。ガイドライン作成委員の偉い教授先生方は立場上100点満点の目標を掲げなければいけません。教科書はいつの時代も100点満点でなければならないのです。一方でその教科書を読む側は60点から100点までその人それぞれ個別により点数は異なってくるのです。ですからガイドラインはあくまでも教科書であり目標であって全てがそのルールを守ることは不可能なのです。もしそうならば最初にお話したように皆が東大に行って大学の存在意義がなくなってしまうからです。一部の人は東大に行き別の人は私立大に行きある人は大学に行かないというそういう選択肢があっていいのです。

それでは最初の薬の話に戻ります。目標は130/80mmHgであってもあくまでも目標で年齢やその他条件によって変わってきます。しかし100点満点を目指すのなら130/80mmHg以下にしましょうと説明すると皆さん140/90mmHgでいいと言われます。この数値は以前の高血圧の基準値であり、従来の下げる目標だったのです。2018年までは140mmHgで2019年からは130mmHgと平成~令和に変わればルールも数値も変更するようなものです。私は大きく数値がはずれなければ平成でも令和でも130でも140でもいいと思います。全員を130mmHg以下にするならば更に1000万人に薬を増量若しくは追加しなければならないとある試算で出ていました。そうすればまた医療費が上がりますが、高血圧による合併症の治療費が減りますので結果として安上がりになるという試算もあるのです。ただしどちらが正しいかはやってみて後世の結果を待つしかありません。また正しい結果が出ないかもしれません。

結局、人生を生きていく上で人それぞれの達成目標やその満足感は異なるのです。それを一律に数値で決めて100%満足させることが本当に全ての人にとって良い事かどうかはわかりません。70%とか60%で満足できる人生も世の中にはたくさんあります。私も最近は70%くらいが幸せな人生を送れるのではないかと思っています。

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半年に1回は歯石とり

私は年2回ほど弟の歯科に行って歯石を取ります。そしていつも歯科衛生士から歯石が歯の裏側にかなりついていて歯磨き方法の不備を指摘されます。いつも歯石を取ってきれいにした後の1-2週間は真面目に歯磨きをするのですが、その後はいい加減になるのが常です。歯石を取った後の結果報告書にはいつも歯の裏側のほぼ全てに歯石が付着していて真っ赤な挿絵が返ってきます。それを見ると次こそはと奮起するのですが、1週間坊主といったところが以前から続いていました。そこで前回半年前の6月に歯石を取ってから一念奮起して毎朝必ず3分間歯磨きと歯間ブラシで歯の間を掃除することを心に誓って続けました。過去に小学校で学校医の講演で歯石は24時間以内にブラッシングすれば付着しないと聞いたことがあり、毎朝必ず3分間の歯磨き時間を設けました。何でも同じですが、毎日のルーチンワークとして癖づければ毎日同じ行動をしないと気持ち悪くなるものです。特に自分の性格は潔癖、完璧主義の性格で癖づければしめたものです。逆に自分の性格が痛いほどわかっていますので新しい事に手を出すときはとても慎重になります。なぜなら一度始めると性格上なかなか撤退することが難しいからです。しかし今回は意地でも歯石を残さないという自分のルールを貫徹するために毎朝3分間の歯磨きタイムと歯間ブラシを設けました。歯磨きを始める時間は仕事を始める10分前と決めました。その時必ず毎日今日1日の予定をシミュレーションするようにしています、そうすると1日のでき事が5分で総まとめでき且つ歯磨きの苦痛の3分間が短く感じられるのです。そして残りの5分間はデッキチェアーに座って何も考えずに無の境地に浸ります。何も考えないで1分間を持続することはとても困難です。人間は煩悩があり何も考えないと決めても30秒も経過するとああだこうだと何かを考え始めます。その煩悩を打ち消すこと自体が一種の修行になります。今回のその貴重な10分を設定すると歯はきれいになるし1日の流れはスムーズになるし一石二鳥です。歯石をつけないという一つの目的が結果的にはそれ以上のいろいろな効果に結びつきました。

そして12月初旬の木曜日の午後に歯科に予約を取りました。今回はかなり歯石には自信がありましたので堂々と思いっきり歯科衛生士の前で口を開けました。何を言われるか少し期待をしましたが、相手はいつもの通りルーチンワークで無表情です。しかし最後の講評では予想通り今回は前回と異なりほとんど歯石が付着していませんでした。やればできるのだといつも自分では自負していますが、やると決めると自分を徹底的に追い込むもう一人の自分がいる事が昔から痛いほどわかっていますので、出来る限り自分で自分を追い込まないにようにしています。いつもその損と得の両者が同居している性格を自分では十分理解しているつもりで、その性格をうまく利用しなければいけないと思っています。歯科を出たとき結果報告書には歯の裏側の歯石付着の赤色の挿絵はほとんどなく、これからもピカピカの歯で歳をとっていきたいものです。

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和楽会忘年会

以前お話したかもしれませんが、新南陽地区の医師の会が昔からあります。その名を和楽会と言い「わろうかい」と読みます。私の父が開業した頃からありますのでほぼ40年近くになります。現在は周南市になりましたが、以前は徳山市と新南陽市は別々でしたが、医師会自体は徳山医師会と一緒で徳山医師会内に新南陽医師の会を作ろうという機運が強かったのではないかと勝手に推測しています。今となっては今年亡くなった父よりも更に先人で会を立ち上げられた先生が皆鬼籍に入られて当時の事はわかりません。そして新南陽地区で開業すると自動的に和楽会の会員になります。月々3000円の会費が自動引き落としとなりその会費で年に2回懇親会が開かれます。以前は会で1泊2日の旅行に行っていた時期もあったようですが、流石に今の時代にはそぐわないようで私が入会した20年前にはありませんでした。年2回の会は春の会と忘年会が開催されます。現在私が新南陽地区の徳山医師会の理事をしていますが、これも和楽会に入会した順番で2年ごとに理事が回ってきます。以前の私が入会した頃は理事を2期4年されていましたが、そこまですると若手の新入会員に理事が回ってこなくなるため現在は1期2年でその理事になったものが和楽会の飲み会の幹事もしています。特に忘年会は新南陽市民病院の先生方もお呼びして新南陽地区の医師皆で大いに語り合う会ということになっています。ですから通常の忘年会と違って芸などは皆無です。来賓に徳山医師会長をお呼びしてご挨拶と新南陽市民病院長のご挨拶と乾杯がありますが、その後はただただ飲んで食べて語り合う会なのです。そして会費が結構余っていますので毎回酒屋さんに美味しい日本酒やワインや焼酎を6本程度選んでもらって持込みをしてただひたすら飲みます。このような芸のない忘年会があっても同じ同業ですので話すだけでも楽しいものです。医師会理事になると飲み会の場所の予約から出欠のファックスまでしなければいけませんので時期的なタイミングのずれがないように毎年カレンダーとにらめっこしなければいけないのが大変です。

今年も7月には地元のお寿司屋さんを予約しました。徳山なら25人程度入るお店ならたくさんありますが、新南陽地区ではほとんどありません。そして忘年会シーズンですから満席で確保できないこともありますので早ければ早いにこしたことはありません。10月になると出欠の確認や持込みのアルコール選定を酒屋さんに依頼します。そして毎年11月の最終金曜に和楽会と市民病院の先生方が集まりこの会は大いに盛り上がります。今年が理事の2年目で幹事も最後となり、残すところ来年の春の懇親会のみです。春の会は身内だけで10人前後で4月ですので予約が取れないということはありませんので気が楽です。当日は会の進行役ですが、最初の挨拶まで仕切ればあとは皆各々好き勝手に飲んで語っていますのでこちらも気楽に持込みの酒を全て味わい楽しんでいます。なかなか同業者が集まって語り合う機会はありませんのでこの会を企画された先人には感謝しつつこれから次の世代の後輩にも引き継いでいかなければなりません。

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名古屋へ医療経営研修

医師になって30年経過して医学知識や技能は多少身につけましたが、経営学は生まれてから一度も学んだことがありません。一昔前までの医者ならば「医療に経営なんて不要」と一喝していました。しかし日本は高齢化が進み医療福祉財源が減らされる現在は、ある程度の経営学は必要と最近の開業する医師は考えています。疲弊の進んでいる勤務医師は役職のある幹部なら開業医と同じように経営に携わらなければなりません。経営についてあまり考えなくてよい医師は若手の勤務医くらいかもしれません。しかしその若手の医師でさえいずれ将来は考えなくてはなりません。経営学は単なる金儲け学ではなく、いかに効率よく医療資源を使って経営を安定させるかが重要で、今後は大学の授業でも医療経営学という講座が必要だと思います。20年前に実家に戻り最初の頃は若手の勤務医と同じく経営についての知識は皆無でしたが、年月が経ち自分が経営者になるとそういうわけにはいきません。そこで8年前から年3回東京に医療経営について勉強に行っています。この会には同じ開業医が集まりますので同じような悩みを議論できとても刺激的です。またその勉強会のオプションで年1回の旅行研修で他の医師の実際の医療経営手法を見学に行く企画があります。そして見学後に当地でその経営手法を皆で議論して温泉旅館に一泊して懇親をはかる会なのです。今回はその研修旅行で名古屋に1泊2日で行ってきました。

勤労感謝の日の朝一の新幹線で名古屋に到着して目的のクリニックは休日も診療していますのでそのお邪魔にならないように片隅で見学です。その後に会議室でそのクリニックの医師から説明を受けてどうすれば患者さん側と医療側でウィンウィンの関係ができるかを議論します。毎日の診察室の中だけの自分では独善的な考えに陥りがちになります。しかしこの会に参加すると同じ医師でも科や地元も異なり多種多様な考え方を聞くことができますので、翌日の診療からまた異なった目で見ることができるのです。

この研修会はマジな勉強会で夕方には疲れがどっときますが、その後は温泉につかり裸の付き合いで身の上話も出てきます。懇親会では地酒を飲みながら子育て論から趣味、そして将来や老後についてありとあらゆることが話題になります。同業者でも仲のよい友人以外に腹を割って話すことはどこの世界でもありません。以前から無二の親友よりも時が経てば隣人の方が勝ると言います。サラリーマン医師ならまた違うかもしれませんが、開業して独り身になると気は楽ですが、孤独との戦いになります。何か良い手段はないかと模索してついにこの会に出会ったのです。参加者は皆同じ思いがありますので、飲み会では「今自分が何を思っているか」を語り合いますが、皆それぞれ人生のステージが異なりますので、自分の通って来た道ならばその経験をアドバイスしますし、わからないことは恥ずかしげもなく聞けます。それは同じ志を持った経営者である医師で尚且つ利害関係が全く無いからできるのでしょう。見学会も刺激的ですが、飲み会は更に自分の人生の羅針盤の方向を決める上でとても大切です。翌朝のホテルから撮影した写真を掲載します。

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全国うまいもの祭り

昔、徳山に近鉄松下というデパートがありましたが、平成の不況で駅前のお店はシャッターが閉まり地区唯一のデパートも閉店して既に5年以上が経過しています。どこのデパートでも最上階に催し会場というスペースがありそこでいろいろな展示会が定期的に開催されます。その目玉は何といっても全国うまいもの祭りでした。絵画や高級カバンや装飾品などは興味が無ければ足を運びませんでしたが、食に関しては誰でもついつい行ってしまいます。地元にデパートがあった頃はたまに出かけていました。しかしデパートがあればいつでも行けると思って逆に行かないことの方が多かったと今になって思います。閉店して初めてそのデパートの偉大さが分かりますが後の祭りです。この5年以上は全国うまいもの祭りなどというフレーズも地元のチラシや広告にあまり見ませんので忘れかけていました。

夏休みが終わって子供たちが皆いなくなるといつもの通り家の中はガランと広く感じてとても静かになり少し寂しくなります。それは家内も同じ気持ちでたまたま山口市の井筒屋で北海道うまいもの祭りが開催されると新聞の広告に入ってきましたので「たまには行ってみるか」と意見が一致して8月の下旬に行きました。私は個人的には札幌味噌ラーメンが好きですので開催場でラーメンを食べました。また北海道だけでなく全国の美味しいものも同時に売られていますので見て試食してついつい気に入ってたくさん買ってしまいます。それでも限られた時間と空間の中でしか生活していない我々にとっては結構な息抜きと娯楽になることを再認識しました。所詮、人間は食欲には勝てないということでしょうか。そこでいろいろと買い込みますが、ものの2週間もすれば全て食べ尽くしてしまいます。敵もさることながら1か月もすれば次の京都うまいもの祭りを開催するというチラシを入れてきます。マーケット戦略に思いっきり乗っかってしまいましたが、それはそれで美味しい物に釣られて各地から集まってきます。うちの場合は木曜の午後が休診ですのでその時間を利用して行きますが、その時間帯はお客さんがそんなに多くないのでゆっくりと見ることができます。先日の新規個別指導の時も開催されていましたので指導が終了してからものの10分で会場に着きますので、よくがんばったというご褒美を兼ねてラーメンと親子丼ぶりを食べました。よく女性がストレス発散で美味しい物を食べに行くという気持ちが少しは理解できたような気がします。

10月までに月1回で三回も行って山口市のためにお金を落としてきました。本当は周南市でお金を落とさなければいけないのですが、地元ではなかなか落とすところがありませんし、特に最近は飲食業が地元では不振で私の贔屓にしていた新南陽のお店が2軒立て続けに閉店してしまいまた新しく開拓しなければなりません。都会ではバブルで好景気と言われていますが、地方は決して景気がよいとは思えません。その中でのちょっとした楽しみがうまいもの祭りで11月も再び大北海道祭りがありましたので行ってきました。

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